『狂えるオルランド』 アリオスト(名古屋大学出版会)

狂えるオルランド狂えるオルランド
(2001/08)
ルドヴィコ アリオスト

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書名:狂えるオルランド
著者:ルドヴィコ・アリオスト
訳者:脇 功
出版社:名古屋大学出版会
ページ数:467

おすすめ度:★★★★★




ルネサンス後期を代表するイタリアの詩人、アリオストの代表作がこの『狂えるオルランド』だ。
イリアス』を髣髴とさせるような長大な物語詩だが、『神曲』などと比べてストーリー性が格段に強く、擬古文で翻訳されていないこの『狂えるオルランド』は、詩作品としてではなく小説として読むこともできる。
『狂えるオルランド』はそもそもボイアルドの『恋するオルランド』の続編として書かれたものだが、『恋するオルランド』なしでも十分楽しむことのできる傑作として、強くお勧めしたい。

シャルルマーニュとイスラム人との戦いを描いた『狂えるオルランド』は、冒頭から終幕に至るまで、複雑に構成された筋の巧みさが光っている。
タイトルからしてオルランドが主人公であるように判断しがちだが、主役級の登場人物は必ずしもオルランドだけではない。
恋に、そして戦いに活躍する男女は数多く、きっと読者はそれぞれひいきのキャラクターが見つかることだろう。
場面の転換もめまぐるしく、続きが気になるところで場面を切り替えるという手法も見られる。
総じて、『狂えるオルランド』は一度読み始めた読者の心を離さない名作であると言えようか。
『アンジェリカを救うルッジェーロ』アングル
右は、『狂えるオルランド』を題材にしたアングルの『アンジェリカを救うルッジェーロ』だ。
この絵を見た多くの人は、おそらくより有名なエピソードであるペルセウスとアンドロメダを思い浮かべることだろう。
そしてアリオストがそれを下敷きにしているのは疑いようがない。
書き手だけではなく読み手の側も、ルネサンス期の文化人の常識として古代ギリシアに関する教養は欠かせなかっただろうから、今日の読者も『狂えるオルランド』を読む上でギリシア神話についてある程度の知識を持っておいたほうが楽しみの幅が広がるかもしれない。

尋常ではない強さの騎士がいたり、魔法のかかった武具が登場したりと、後に『ドン・キホーテ』で揶揄されることになる非現実的なストーリー展開の目白押しだが、騎士道物語の代表格である『狂えるオルランド』を知っていれば『ドン・キホーテ』がいっそう面白く読めることは間違いない。
訳文も非常に読みやすく、またギュスターヴ・ドレの挿絵もたいへん美しいものばかりで、値は張るがそれだけの価値がある本だと思う。
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