『デカメロン』 ボッカッチョ(ちくま文庫)

デカメロン〈上〉 (ちくま文庫)デカメロン〈上〉 (ちくま文庫)
(1987/10)
G. ボッカッチョ

商品詳細を見る
デカメロン〈中〉 (ちくま文庫)デカメロン〈中〉 (ちくま文庫)
(1987/12)
G. ボッカッチョ、ボッカッチョ 他

商品詳細を見る

デカメロン〈下〉 (ちくま文庫)デカメロン〈下〉 (ちくま文庫)
(1988/01)
G. ボッカッチョ、ボッカッチョ 他

商品詳細を見る

書名:デカメロン
著者:ジョヴァンニ・ボッカッチョ
訳者:柏熊 達生
出版社:筑摩書房
ページ数:475(上)、459(中)、441(下)

おすすめ度:★★★★




ダンテ、ペトラルカと並びイタリア・ルネサンス期を代表する文人であるボッカッチョの代表作がこの『デカメロン』である。
『デカメロン』は、ペストを逃れた語り手たちが退屈しのぎにそれぞれ面白い話を物語るといういわゆる「枠物語」で、このスタイルはチョーサーの『カンタベリー物語』へと受け継がれていくことになるだろう。
表紙からも想像できるとおり、エロティックなテーマのストーリーも少なくないが、実際には話のジャンルは幅広く、多種多様なエピソードを集めた一種の短編集として楽しむことができるのではなかろうか。

迫り来る死の影を追い払おうと、十人の登場人物が十日にわたって全部で百の話をするという構成の『デカメロン』は、必然的にその内容がいくらか浮薄となっている。
というのも、聞く者を楽しませようという意図の下で笑い話を披露してくれる人物が多いからだ。
そしておそらくは性的で滑稽なエピソードの繰り返しが読者の気を引くに違いない。
そういう意味では、無数の死に直面した人々が享楽的な生を堪能しようとする様が、とても人間的に感じられる作品だ。
また、全編を通じて、聖職関係者、特に修道士に対する痛烈な風刺に富んでいることが記憶に焼き付けられるだろう。
宗教の権威を打ち砕き、人間性を前面に打ち出す作品である『デカメロン』こそ、まさにイタリア・ルネサンスの代表作と呼べるはずだ。
デカメロン(上) (講談社文芸文庫)デカメロン(上) (講談社文芸文庫)
(1999/05/10)
ジョヴァンニ・ボッカッチョ

商品詳細を見る
デカメロン(下) (講談社文芸文庫)デカメロン(下) (講談社文芸文庫)
(1999/06/10)
ジョヴァンニ・ボッカッチョ

商品詳細を見る

『デカメロン』は右のように講談社からも文庫が出されている。
こちらは抄訳とのことらしいが、ちくま文庫版と異なりいまだに新品での入手が可能のようだ。
私は中身を確認していないのでその詳細については立ち入るべきではないだろうが、百ある話が仮に六十になったところで、『デカメロン』という作品から受ける印象にそう大きな差はないのかもしれない。

『デカメロン』の帯びる妖艶さを強調しすぎたきらいのあるちくま文庫の表紙だが、その作品自体は気軽に読むこともできれば大真面目に鑑賞することもできるという代物だ。
神曲』と比べるとはるかに取っ付きやすい『デカメロン』、まずは上巻だけでも手にしてみてはいかがだろうか。
スポンサーサイト
カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク