『ほらふき男爵の冒険』 ビュルガー編(岩波文庫)

ほらふき男爵の冒険 (岩波文庫)ほらふき男爵の冒険 (岩波文庫)
(1983/04/18)
ビュルガー、 他

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書名:ほらふき男爵の冒険
著者:ビュルガー
訳者:新井 皓士
出版社:岩波書店
ページ数:260

おすすめ度:★★★★




実在の人物であるミュンヒハウゼン男爵の語ったとされる大言壮語を集めたのがこの『ほらふき男爵の冒険』である。
本書の成立過程には少々複雑な紆余曲折があり、話の筋自体もビュルガーの創作によるものではなく、彼の名前が著者としてではなく編者とされているのはそのためだ。
とはいえ内容が内容であるだけに、あまり難しいことを考えずにさらりと読んでしまっていいように思う。

『ほらふき男爵の冒険』は、いわばミュンヒハウゼン男爵の武勇伝である。
シリアスさのかけらもない荒唐無稽な筋書きはただただ愉快で、読者を楽しませるという以外の意図は微塵も感じられないのがかえって心地よいほどだ。
同じ滑稽な冒険譚であっても、『ドン・キホーテ』は登場人物が地に足を着けているのに対し、『ほらふき男爵の冒険』のほうはふわふわと浮いているかのようで、ミュンヒハウゼン男爵が実在の人物であり、彼の伝記的事実を若干取り入れているらしいと聞かされても、『ほらふき男爵の冒険』は依然として空想世界の産物にとどまることだろう。
ミュンヒハウゼン
岩波文庫版の『ほらふき男爵の冒険』には、ギュスターブ・ドレによる挿絵が多数挿入されている。
表紙を飾る三点や右のものなどはそのほんの一例だが、ドレによる滑稽な挿絵を眺めているだけでもけっこう面白く、それらがそれぞれどのような場面を描いたものなのかと、本文に対する関心も高まること疑いなしだ。
豊富な挿絵と解説があっての260ページなので文章量自体は比較的少なく、また、難解なところのない読みやすい文章であることは言うまでもないことで、中には時の経つのを忘れて一日で読み切ってしまう読者もいるかもしれない。

『ほらふき男爵の冒険』が文学的に高い評価を受けることはないだろうし、編者のビュルガーも詩人としては日本ではほとんど知られていないが、この作品のストーリーがめっぽう面白いものであることは誰にも否定できないのではなかろうか。
児童向けに数種類の本が出されているのもうなずけるし、この全訳に触れて懐かしさを覚える方もいることだろう。
『ほらふき男爵の冒険』は、童心に返って楽しんでいただきたい、そんな一冊だ。
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