『危険な関係』 ラクロ(岩波文庫)

危険な関係〈上〉 (岩波文庫)危険な関係〈上〉 (岩波文庫)危険な関係〈下〉 (岩波文庫 赤 523-2)危険な関係〈下〉 (岩波文庫 赤 523-2)

書名:危険な関係
著者:コデルロス・ド・ラクロ
訳者:伊吹 武彦
出版社:岩波書店
ページ数:295(上)、297(下)

おすすめ度:★★★★★




ラクロの書簡体小説『危険な関係』は、文学全集によく収められていた作品でもあり、十八世紀のフランス文学を代表する傑作の一つと目されている。
男女関係を中心に、それぞれの登場人物の心理を巧みに描写した広義で言うところの恋愛小説となっており、いかにも伝統的なフランス文学という感じを受ける作品だ。

百戦錬磨の遊び人である子爵が、まだ若い無垢な乙女に近付いて・・・。
『危険な関係』を形作っているのは、復讐、嫉妬、欺瞞、誘惑などといった、人間心理の負の要素が大半である。
実際に体験すると虫唾が走るような負の要素でも、小説で読むととても興味深いものに思え、読者を最後まで強く引き付けるのだから不思議なものだ。
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世界的に有名な作品である『危険な関係』は、これまでに何度も映画化されているらしいが、ここでは右のハリウッド版を紹介しておきたい。
けっこう前の作品にはなるがブルーレイ化もされていて、演技派俳優として名高いジョン・マルコビッチが演じる誘惑者には独特の味わいがあり、『危険な関係』の読者ならば必ずや楽しめるのではなかろうか。
とはいえ、プロットよりは微細な心理描写が肝である『危険な関係』の場合、映画よりも原作のほうを好む方が多いような気はするのだが。

後世に残る唯一のラクロの作品がこの『危険な関係』であり、逆に言えば『危険な関係』なしにはラクロは名を残すことはなかったはずだ。
しかし、作者は有名でもないのに作品だけが何世紀も残るということ自体、『危険な関係』の質の高さを明確に物語っているといえよう。
書簡体小説というスタイルのせいもあって古風な印象を受ける読者もいるかもしれないが、『危険な関係』は欧米文学に関心のある方が一読しておくべきクラシックの一つだと思う。
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