『テンペスト』 シェイクスピア(ちくま文庫)

テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫)テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫)
(2000/06)
ウィリアム シェイクスピア

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書名:テンペスト
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:松岡 和子
出版社:筑摩書房
ページ数:186

おすすめ度:★★★★




シェイクスピアがストラトフォード・アポン・エイヴォンに引退する前の最後の作品として知られるのがこの『テンペスト』だ。
”Tempest”が「嵐」を意味するため、邦題としては『あらし』も広く一般的に用いられているが、近年ではひょっとすると『テンペスト』という片仮名表記が優勢になりつつあるのかもしれない。
喜劇に分類される作品であるために非常に読みやすいにもかかわらず、深読みも可能な作品であり、執筆の背景などの点で言えばシェイクスピア作品で最も興味深いものの一つに数えられるのではなかろうか。

ミラノを追われた元大公プロスペローは、今はひっそりと娘と孤島で暮らしている。
魔法の知識を得た彼は、配下の精霊に命じて自らに仇をなした肉親の乗る船を嵐に遭わせ、乗船している人々を自身の住む島に漂着させる。
復讐をするには絶好の機会を得たプロスペローは・・・。
シェイクスピアの肉声とも思えるような台詞が散在する『テンペスト』は、読者の側で注意を払えば払っただけ奥行きが生じてくる作品であるはずなので、ぜひシェイクスピアの肖像を思い浮かべながら熟読してみていただきたいと思う。
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(2012/03/02)
ヘレン・ミレン、ラッセル・ブランド 他

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夏の夜の夢・あらし (新潮文庫)夏の夜の夢・あらし (新潮文庫)
(1971/08/03)
シェイクスピア

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映像化作品としてお勧めしたいのは、いろいろな意味合いで野心的な作品である右の『テンペスト』だ。
映画というよりは舞台風の演出も随所に見られ、精霊の取り扱い方も特徴的で、そして何より、プロスペローを女性に置き換えるという一大変更を加えており、たいへん興味深い作品に仕上がっているように思う。
また、新潮文庫からは『夏の夜の夢・あらし』として二作品を一冊に合わせた文庫本も出されているので、お得さで選ぶなら新潮文庫といえるだろう。

シェイクスピア作品の導入として読むよりは、複数作品を読んだ上で『テンペスト』を紐解かれることをお勧めしたい。
シェイクスピアに対する思い入れが強まれば強まるだけ、シェイクスピア自身に共通するところの多い主人公により強い共感を覚えることができるに違いない。
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『ヴェニスの商人』 シェイクスピア(新潮文庫)

ヴェニスの商人 (新潮文庫)ヴェニスの商人 (新潮文庫)
(1967/10)
シェイクスピア

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書名:ヴェニスの商人
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:福田 恒存
出版社:新潮社
ページ数:176

おすすめ度:★★★★★




ヴェニスの商人 [DVD]ヴェニスの商人 [DVD]
(2006/04/05)
アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ 他

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シェイクスピアの喜劇作品として最もよく知られているのがおそらくこの『ヴェニスの商人』だろう。
右はシェイクスピア作品に対する造詣の深いアル・パチーノがシャイロックを演じた映画『ヴェニスの商人』で、概ね原作に忠実な中に、わずかに現代的な視点が盛り込まれている作品となっていて、ひょっとすると今日の日本人にはこちらの方が受け入れやすいものになっているのかもしれない。
いずれにしても、俳優陣や衣装などのクオリティーは大いに満足のいくものに思われたので、ぜひ原作と合わせて鑑賞いただきたい。

どうしてもお金が必要だという友人のために、ユダヤ人の金貸しシャイロックに借金を申し込んだアントニオ。
日頃から蛇蝎のごとくに毛嫌いしていたシャイロックだけに、てっきり法外な金利を請求するに違いないと踏んでいたアントニオだったが、シャイロックが担保として求めたものは意外なもので・・・。
『ヴェニスの商人』の優れたところとしては、登場人物の巧みな性格造形もさることながら、プロットの面白さも挙げることができ、おそらくは最後の一ページまで読者の関心を引きつけてやまないことだろう。
ヴェニスの商人 (岩波文庫)ヴェニスの商人 (岩波文庫)
(1973/01)
シェイクスピア

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ヴェニスの商人 (光文社古典新訳文庫)ヴェニスの商人 (光文社古典新訳文庫)
(2007/06)
ウィリアム シェイクスピア

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作品自体の知名度や読みやすさもあってか、『ヴェニスの商人』も翻訳の種類には事欠かない。
右には一例として岩波文庫版と光文社古典新訳文庫を挙げておくが、出版社や訳者に特にこだわりのない方には最も安価な新潮文庫版をお勧めしたい。

ハムレット』や『リア王』で知られるシェイクスピアは、どうしても悲劇作家としての印象が強いように思うが、軽いタッチの、それでいて読み応えのある喜劇作品も複数残している。
シェイクスピアの喜劇の中で、作品としても非常に優れていて入手も容易なのが『ヴェニスの商人』なので、シェイクスピアの喜劇作品に興味のある方はぜひ『ヴェニスの商人』から始めていただければと思う。

『ロミオとジュリエット』 シェイクスピア(新潮文庫)

ロミオとジュリエット (新潮文庫)ロミオとジュリエット (新潮文庫)
(1996/12)
シェイクスピア

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書名:ロミオとジュリエット
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:中野 好夫
出版社:新潮社
ページ数:267

おすすめ度:★★★★★




ハムレット』や『リア王』と並び、言わずと知れたシェイクスピアの代表的悲劇作品の一つがこの『ロミオとジュリエット』だ。
数々のパロディの元となった有名な場面もあれば、シェイクスピアの物した名言としてよく引用される台詞も複数含んでおり、シェイクスピア以降の文学を深く鑑賞する上で外せない作品の一つであると言えるように思う。
タイトル自体が何しろ非常に有名なので、読書家ではない方も一度は読んでおいて損はないのではなかろうか。

相思相愛の仲であるロミオとジュリエットだったが、彼らの属する一族はというと、互いに激しく憎み合っている間柄だった。
なんとか二人が結ばれる道を模索するロミオは・・・。
ネタばれを避けるよう努めているので、結末に関して言及するのはいつもながら控えることにするが、その結末はすでに多くの人の知るところとなっているのかもしれない。
ロミオ&ジュリエット [DVD]ロミオ&ジュリエット [DVD]
(2003/04/11)
レオナルド・ディカプリオ、クレア・デーンズ 他

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ロミオとジューリエット (岩波文庫)ロミオとジューリエット (岩波文庫)
(1988/02/16)
W. シェイクスピア

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『ロミオとジュリエット』の映像化作品としては、レオナルド・ディカプリオ主演の『ロミオ&ジュリエット』がもっとも一般的なものだろう。
現代風のアレンジが色濃いため、原作の読者がこの映画をどう感じるかは意見が分かれるかもしれない。
また、新潮文庫以外の翻訳としては、岩波文庫版が古くからあり、訳者も名訳者として定評のある平井正穂氏であるため、岩波文庫ファン以外の方にも安心してお勧めできる一冊だと言える。

『ロミオとジュリエット』の舞台となったヴェローナには、二人が愛を語り合ったとされるバルコニーが存在しているらしい。
その歴史的な真偽はともかくとしても、『ロミオとジュリエット』が世界的に最も有名なロマンスの一つであることは疑いようがない。
古典的名作であるとはいえ、戯曲というスタイルであるためにたいへん読みやすいので、イギリス文学やシェイクスピアにそれほど興味のない方でも、ぜひ気軽に手にとっていただきたい作品だ。

『汚辱の世界史』 ボルヘス(岩波文庫)

汚辱の世界史 (岩波文庫)汚辱の世界史 (岩波文庫)
(2012/04/18)
J.L.ボルヘス

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書名:汚辱の世界史
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:中村 健二
出版社:岩波書店
ページ数:192

おすすめ度:★★★★




ボルヘス最初の短編集が、古今東西よりボルヘスの関心を引いた七人の悪人を集め、ボルヘス流に紹介したこの『汚辱の世界史』である。
かつて晶文社から『悪党列伝』という表題で出版されていたものがこの度岩波文庫入りしたということで、タイトルもより原題に寄せたものとされたようだ。
悪人たちの生涯や悪行がきわめてストレートな筆致で描かれており、難解さはまったく感じられないので、気軽に読んでみてもいいのではなかろうか。

『汚辱の世界史』で取り上げられている悪党は、ラザラス・モレル、トム・カストロ、鄭夫人、モンク・イーストマン、ビリー・ザ・キッドの名で知られるビル・ハリガン、吉良上野介、メルヴのハキムの七名である。
日本人にはたいへんなじみの深い吉良上野介に一章が割かれていることを知れば、本書の表紙で用いられている図版にも大いに納得がいくことだろうし、同時にまた、ボルヘスの集めた悪党たちが単に血も涙もない残酷な人間たちばかりでないことにも気付かれることだろう。
実際、七人の悪人たちの中には、ギャングや海賊の頭領のみならず、詐欺師もいれば宗教がかった扇動者もいるといった具合で、本書には『悪党列伝』というタイトルよりもやはり『汚辱の世界史』の方がいっそうふさわしいように思われる。

『汚辱の世界史』には、「薔薇色の街角の男」と、「エトセトラ」と題された小編群も添えられている。
いずれも短いものであるとはいえ、いかにもボルヘスらしいテーマを扱ったものなので、ボルヘスのファンであれば満足を覚えながら読み進めることができるのではなかろうか。

『汚辱の世界史』で紹介されている汚辱の元凶たちは、ビリー・ザ・キッドと吉良上野介を除けばあまり知られていない「悪党」が多いので、ボルヘスという作家にそれほど興味のない人でさえそこそこ楽しむことができる一冊であるように思う。
そしてもちろん、ボルヘスの本が文庫化されるのを待ち望んでいた人々をも必ずや満足させるに違いない。

『マクベス』 シェイクスピア(新潮文庫)

マクベス (新潮文庫)マクベス (新潮文庫)
(1969/08)
シェイクスピア

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書名:マクベス
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:福田 恒存
出版社:新潮社
ページ数:162

おすすめ度:★★★★★




シェイクスピアの四大悲劇の一つである『マクベス』。
四大悲劇の出来栄えに関して順位をつけるとすると、おそらくそれぞれの読者が異なった判定を下すことになるだろうが、幻想的かつ運命的な筋書きを持つ点で他の三作と若干雰囲気の異なるこの『マクベス』は、読者の嗜好に応じて一位か四位という順位を獲得することが多いのではないかという気がする。
シェイクスピアにしては比較的短めの作品ということもあるのかもしれないが、伏線の多用によって構成自体はとても緊密に仕上がっているように感じられ、そこも好みが分かれるところなのではなかろうか。
しかし、いずれにしても『マクベス』が戯曲として傑作の域に達しているということに異を唱える人はきわめて少ないように思う。

スコットランドの一将軍として華々しい戦果を挙げたマクベスは、その帰途において未来のことを言い当てる魔女に遭遇する。
城に戻り、現スコットランド王であるダンカンから武功をねぎらわれるも、魔女の言っていた言葉、すなわちマクベスこそが後のスコットランドの王になるという予言が気にかかって仕方のないマクベスとその妻は・・・。
いかにもシェイクスピアらしい、些細な言葉尻をとらえた劇の展開は、読者にシェイクスピアの劇作家としての巧みさを感じさせるに違いない。
マクベス (岩波文庫)マクベス (岩波文庫)
(1997/09/16)
シェイクスピア

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マクベス (光文社古典新訳文庫)マクベス (光文社古典新訳文庫)
(2008/09/09)
ウィリアム シェイクスピア

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シェイクスピア作品の中で、日本においてよく読まれているものの一つである『マクベス』は、当然ながら翻訳の種類も豊富である。
新訳が必ずしもその質において古くからあるものを上回るわけではないが、世代が変われば読者が平明と感じる言葉遣いなども変化するだろうから、古い言い回しなどを避けたい方はとりあえず出版年を参考にするのが無難な選抜法であるとは言えるかもしれない。

代表的な作品を数多く持つシェイクスピアだけに、四大悲劇をすべて読んでも非常に偏ったシェイクスピア像しか描くことはできないように思うが、そうは言ってもやはりシェイクスピアが類まれな才能を発揮したのが悲劇というジャンルであることに変わりはなく、四大悲劇は読破しておくことをお勧めしたい。
そして他の作品との比較対照によってその特徴がいっそう浮き彫りになる『マクベス』を心行くまで楽しんでもらえればと思う。

『オセロー』 シェイクスピア(新潮文庫)

オセロー (新潮文庫)オセロー (新潮文庫)
(1973/06)
シェイクスピア

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書名:オセロー
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:福田 恆存
出版社:新潮社
ページ数:214

おすすめ度:★★★★★




ハムレット』や『リア王』と並び、シェイクスピアの四大悲劇の一つと言われている『オセロー』。
『ヴェニスの商人』や『ロミオとジュリエット』など、シェイクスピアにはイタリアを舞台にした作品が多いが、ヴェニスで展開するこの『オセロー』もその代表格である。
シェイクスピアの名作の常であるが、『オセロー』もまた含蓄ある台詞の宝庫であり、ぜひ舞台にかけられているのを見たくなる作品だ。

ヴェニスの将軍オセローは、美しき妻デスデモーナをこよなく愛していたが、イアーゴーがその愛情を逆手にとって奸計をめぐらすことに。
燃え盛る嫉妬の念に焼き尽くされたオセローの行きつく先は・・・。
『オセロー』は、当然ながら一般的にはオセローが主人公とされる作品であるが、作品中におけるイアーゴーの存在感がきわめて強く、イアーゴーの方に比重を置いて読んでみるのも面白いと思う。
そもそもなぜイアーゴーがオセローの嫉妬をかきたてたのかを考えると、この戯曲がまた違った色合いに見えてくるのではなかろうか。
オセロウ (岩波文庫)オセロウ (岩波文庫)
(1960/06/25)
シェイクスピア

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『オセロー』は、同じくシェイクスピアの四大悲劇に数えられている『ハムレット』や『リア王』と比べると少々翻訳の種類は少ないのかもしれないが、もちろん作品としてそれらと比べた場合に何らかの遜色があるわけではない。
シェイクスピアの最高傑作としてどれを選ぶかは論者によってまちまちであろうし、その点は元来それぞれの読者が決定すべきことであるように思うが、最も優れた作品として『オセロー』を選ぶ読者がいてもまったく不思議ではない。
再読するたびに一味違った感銘を受けることのできる、「嫉妬」の代名詞でもあるオセローの悲劇、ぜひ一読いただきたい。

『エバリスト・カリエゴ』 ボルヘス(国書刊行会)

エバリスト・カリエゴエバリスト・カリエゴ
(2002/02)
ホルヘ・ルイス ボルヘス

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書名:エバリスト・カリエゴ
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:岸本 静江
出版社:国書刊行会
ページ数:201

おすすめ度:★★★☆☆




ブエノスアイレスの場末をうたった詩人、エバリスト・カリエゴにまつわるエッセイを中心に編まれた作品が、この『エバリスト・カリエゴ』だ。
エバリスト・カリエゴのことを本書による紹介に接する以前から知っていたという方は日本ではきわめて少ないように思うが、本書はエバリスト・カリエゴのことをあらかじめ知らないと楽しめないかというと必ずしもそうではない。
というのも、エバリスト・カリエゴの生涯や作風に関する説明がきっちりとなされているだけでなく、カリエゴには直接的に関係のないタンゴやナイフの話もけっこうな紙幅を割いて収録されているので、私などはむしろ本書の『エバリスト・カリエゴ』というタイトルの方に違和感を覚えたほどで、読後感としては、詩人としてのカリエゴうんぬんよりも、ブエノスアイレスの場末の雑然とした印象の方が強く残っている。
いずれにしても、『エバリスト・カリエゴ』はボルヘスの作品の中でも特にアルゼンチン色の濃い一冊であると断言することができる。

本書『エバリスト・カリエゴ』には、エバリスト・カリエゴの伝記的記述や彼の詩作品に対する批評に続いて、後半部分ではアルゼンチンの、ひいてはブエノスアイレスの象徴的事物についての論考が収められている。
それらをカリエゴの話からの脱線ととらえることも可能だろうが、一冊の本として振り返ってみると、読者は本書が奇妙なまとまりを見せていることに気付かされるのではなかろうか。
カリエゴの生きた場所と時代が決して身近なものではない今日の日本の読者にとっては、アルゼンチンの雰囲気を如実に伝えてくれるボルヘスの蛇足とも言うべきエッセイも、大いに歓迎すべきものとなるように思う。

『エバリスト・カリエゴ』は、『伝奇集』や『エル・アレフ』のような作品を期待している読者を確実に裏切ることだろう。
本書を楽しめるのは、『ブロディーの報告書』などといったボルヘスのアルゼンチンを舞台にした作品を好まれる方か、アルゼンチン人としてのボルヘスを知りたいという方、そして言うまでもなくボルヘスのファンの方ということになるように思う。

『リア王』 シェイクスピア(新潮文庫)

リア王 (新潮文庫)リア王 (新潮文庫)
(1967/11)
ウィリアム シェイクスピア

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書名:リア王
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:福田 恆存
出版社:新潮社
ページ数:232

おすすめ度:★★★★★




シェイクスピアの四大悲劇の一つに数えられるのがこの『リア王』だ。
タイトルロールであるリア王をはじめ、高貴な身分の登場人物が中心となって物語が進んでいくものの、家族の絆と欺瞞が重要なファクターとなっている悲劇であるため、今日の日本の読者でも作中で物語られる悲哀を身近に感じることができるのではなかろうか。
そういう意味では、史的かつ政治的な『リチャード三世』などと比べてはるかに人間味の強い戯曲になっていると言えるだろうし、そのことによって『リア王』はより普遍的な文学的価値を備えているとも言えるはずだ。

古代ブリテンの王、リアは3人の娘たちの誠意を試した結果、虚飾を見抜くことができずに最も優しく誠実な末娘には愛情が足りないと判断する。
実の娘の誠意を試すという行為自体が不誠実な気がしないでもないが、いずれにせよ、この判断の誤りがリア王の運命を大きく変えていくことになり・・・。
リア王 (岩波文庫)リア王 (岩波文庫)
(2000/05/16)
シェイクスピア

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リア王 (光文社古典新訳文庫)リア王 (光文社古典新訳文庫)
(2006/09/07)
シェイクスピア

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ハムレット』同様、シェイクスピアの代表作である『リア王』にも文庫本だけでも数種類の翻訳が出回っている。
どれが最も読みやすいと感じるかは読み手によって異なるだろうから一概には言えないし、私自身もしっかりと読み比べたわけではないのだが、新訳をお探しの方にはとりあえず右の二つをお勧めしたい。
特にこだわりのない方は最も安価な新潮文庫が手頃なのではないかと思う。

悲劇作品ということで、作品に読者の心を揺さぶる深みこそあれ、読後にそれほど爽快感は望めないことだろう。
そうはいっても、あまりに有名な作品であるので、悲劇があまり得意ではないという方も、後世の多くの文学作品の中でたびたび言及されている『リア王』は、そのあらすじだけでも知っておいて損のない作品の一つであるように思う。
欧米文学に関心のある方であれば、蔵書に加えておくことを強くお勧めしたい一冊だ。
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