『黒猫/モルグ街の殺人』 エドガー・アラン・ポー(光文社古典新訳文庫)

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)
(2006/10/12)
ポー

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書名:黒猫/モルグ街の殺人
著者:エドガー・アラン・ポー
訳者:小川 高義
出版社:光文社
ページ数:219

おすすめ度:★★★★★




ポーの代表作として『黒猫』と『モルグ街の殺人』などを収録した光文社の古典新訳文庫。
『アモンティラードの酒樽』が重複するが、岩波文庫の『黄金虫・アッシャー家の崩壊』と合わせて読めば、ポーの小説の有名どころはだいたい押さえることができる。
活字が大きく読みやすいだけに、物足りなさを感じないわけではないが、『黒猫/モルグ街の殺人』がポーを楽しむ上で手頃な本であることは間違いない。

主人公の自意識の巧みな掘り下げが魅力である『黒猫』は、作品自体が短いということもあり、ポーの全作品の中でも特に緻密に仕上げられたものの一つで、結末まで一気に読み通すことができる。
合理的に展開される心理描写が読者を引き込んでいく力の強さは、さすがはポーであると言うしかない。
併録されている『告げ口心臓』も、同様のジャンルの作品として邦訳されることの多い傑作の一つだ。
また、『ウィリアム・ウィルソン』は、取り扱っているテーマがドストエフスキーの『二重人格』に似通っているので、比べて読んでみるのも面白いと思う。
『早すぎた埋葬』は、落ちの秀逸さで長く記憶に留まる作品だろう。
黒猫・モルグ街の殺人事件 他5編 (岩波文庫 赤 306-1)黒猫・モルグ街の殺人事件 他5編 (岩波文庫 赤 306-1)
(1978/12/18)
ポオ

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『黒猫』と『モルグ街の殺人』を表題に掲げた本は、右に示すように、少々版が古いが岩波文庫からも出されている。
こちらは『マリ・ロジェエの迷宮事件』と『盗まれた手紙』も収録されていて、いわゆる「デュパンもの」と呼ばれるミステリー草創期の三作品を網羅しているので、そちらの方面に興味のある人には非常にお勧めだ。
「デュパンもの」三編を読み通せば、『モルグ街の殺人』だけでは短編の一登場人物に過ぎないという印象を与えかねないデュパンが、ホームズをはじめとする数々の名探偵の原形であることをおわかりいただけるに違いない。

短編小説やミステリー小説を文学ジャンルとして確立したポーの影響は、後世の多くの作家に及んでいる。
ポーの作品を知っておけば、後の作家の作品中にポーの遺伝子を見出すという楽しみ方も可能となるだろう。
そういう意味では、『黒猫』や『モルグ街の殺人』は欧米文学の古典中の古典の一つと言ってもいいのかもしれない。
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