『ポオ評論集』 エドガー・アラン・ポー(岩波文庫)

ポオ評論集 (岩波文庫)ポオ評論集 (岩波文庫)
(2009/06/16)
八木 敏雄

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書名:ポオ評論集
著者:エドガー・アラン・ポー
訳者:八木 敏雄
出版社:岩波書店
ページ数:323

おすすめ度:★★★☆☆




短編小説家、詩人としてのみならず、評論家としても活動していたポーの評論を集めたのがこの『ポオ評論集』だ。
ポーの詩に対する考え方や、ディケンズやホーソーンなど、日本でもよく知られた同時代の作家の作品に関する評論を収めていて、そのすべての評論がとは言わないまでも、たいていは非常に興味深く読むことができる。
ポーに関心のある人や、ポーの活躍した時代のアメリカ文学に興味のある人にはお勧めの一冊だ。

収録されている評論の中で、最も読み応えのあるのは『詩作の哲学』だろう。
この中でポーは、詩人としてのポーの名を一躍有名にした彼の代表作である『大鴉』の成立過程について詳述している。
詩で扱うモチーフの選び方から、使用する単語の音としての効果や、そもそも適切な詩の長さとはどの程度なのかについてまで説明し、アメリカの詩で最も有名なものの一つである『大鴉』ができるまでの過程を非常に分析的かつ論理的に解説してくれるのだ。
すべての記述を鵜呑みにするのは安直に過ぎるかもしれないが、一つの詩論として読むとたいへん興味深い文章である。

また、ディケンズやクーパーの作品に対する批評も面白い。
必ずしも文学批評としての傑作ではないかもしれないが、他者の作品のどこを褒め、どこを難じるのかによって、ポー自身が短編小説を書く際のスタンスを察することができる。
読者に及ぼす心理的効果を重視して作品を仕上げていたポーらしい評言にも出会うことだろう。

本作は評論集ということもあり、あまり一般には受けないものと思われる。
実際、ポーを知っているからこそ楽しめる部分が大きいので、できればポーの短編小説をいくつかと、そして彼の詩の代表作である『大鴉』を読んだ上で手にしていただければと思う。
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