『愛神の戯れ―牧神劇「アミンタ」』 タッソ(岩波文庫)

愛神の戯れ――牧神劇『アミンタ』 (岩波文庫)愛神の戯れ――牧神劇『アミンタ』 (岩波文庫)
(1987/05/18)
トルクァート・タッソ

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書名:愛神の戯れ―牧神劇「アミンタ」
著者:トルクァート・タッソ
訳者:鷲平 京子
出版社:岩波書店
ページ数:273

おすすめ度:★★☆☆☆




アリオストと並び、ルネサンス後期を代表するイタリア詩人であるトルクァート・タッソの代表作の一つ、『愛神の戯れ―牧神劇「アミンタ」』。
オリジナルのタイトルは、本文庫で副題とされている『アミンタ』のほうで、『愛神の戯れ』というのは内容に照らして付けられたものであり、あくまで意訳である。
個人的に、作品の顔であるタイトルの改変をあまり好まない上に、『愛神の戯れ』というのもあまり優れたタイトルではないように思うのだが、他の方々はどのように感じられるだろうか。

愛神、すなわちキューピッドが愛の種を蒔くという設定から話が始まる。
恋する男と、つれない素振りでそれをあしらう女、そしてそれぞれに相談役の友人。
いわゆる「愛神の戯れ」で幕が開いた牧歌劇は、登場人物が非常に少なく、筋の把握はきわめて容易である。
その中に一人、タッソ本人とみなすことのできる人物がいて、彼の言葉は読者の注意を引くことだろう。
しかしながら、「牧歌劇」というジャンルを確立したとして文学史の中での評価は高い作品かもしれないが、ストーリーの内容自体はやや月並みな感じがする。

本書には、日本ではあまり知られていないタッソの生涯についても、文庫版にしては十分すぎるほどの解説が付されている。
それを読む限りでは、タッソは非常に波瀾に富んだ人生を送っていたようだ。
タッソの生涯に関心を寄せたゲーテが、『トルクワートー・タッソー』という作品を執筆していることからも、その関心の高さが推察される。
ここではタッソが精神異常と判断されて病院に幽閉されていた時期があると紹介するだけで十分だろうか。

この『愛神の戯れ―牧神劇「アミンタ」』は、ウェルギリウスの『牧歌』に連なる作品として読むことができる。
そういう意味では、牧歌風作品の歴史の中では重要な一環を成していると言えるだろうが、作品自体のインパクトが強いとは言いがたい。
いずれにしても、タッソの作品に興味がある方には『エルサレム解放』のほうをお勧めしたい。
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