『エル・アレフ』 ボルヘス(平凡社ライブラリー)

エル・アレフ (平凡社ライブラリー)エル・アレフ (平凡社ライブラリー)
(2005/09)
ホルヘ・ルイス ボルヘス

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書名:エル・アレフ
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:木村 榮一
出版社:平凡社
ページ数:261

おすすめ度:★★★★★




伝奇集』に次いで出されたボルヘスの短編集が、この『エル・アレフ』だ。
本作では、表題作である「エル・アレフ」をはじめ、「不死の人」や「タデオ・イシドロ・クルスの伝記」のような無二の傑作に出会えることだろう。
伝奇集』と比べて、やや話の筋をつかみやすい作品が多いようなので、ボルヘスの短編作品に初めて触れる方にもお勧めできる。

ボルヘスは、自身の作品に実在の人物、例えば友人の作家やボルヘス自身を登場させたりすることで、摩訶不思議な作品世界に一抹の現実味を与えようとし、そしてそれに成功している。
作者本人が登場するというのは、彼が心酔していたダンテが『神曲』において用いた手法なので、たいていはそこにルーツを求めているようだが、いずれにしても、「ボルヘス」という登場人物のいる作品には独特の味わい深さがあり、読者はそれを強く記憶に留めることだろう。
短編集『エル・アレフ』の中でも「ボルヘス」との出会いに事欠くことはない。
ボルヘスが描く「ボルヘス」の世界、作家本人からすれば、「鏡」の中の世界とでもいえるだろうか。
そして「鏡」は、ボルヘスがよく使用する最重要モチーフの一つであり・・・『伝奇集』に負けず劣らず、『エル・アレフ』は「無限」の興味が沸き起こる作品のはずだ。
不死の人 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)不死の人 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
(1996/08)
ホルヘ・ルイス ボルヘス

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『エル・アレフ』は、過去に『不死の人』というタイトルでも邦訳が出されていたらしい。
右は白水Uブックスから出された『不死の人』で、私は手にしたことがないので内容等は未確認だが、おそらくは同じ内容の本だろう。
平凡社の『エル・アレフ』が現在品切れのようなので、新品を好まれる方はこちらの『不死の人』を読むという手もある。

伝奇集』に連なる短編集である『エル・アレフ』からおよそ二十年のときを経て、次なるボルヘスの短編集は『ブロディーの報告書』だ。
一度読み出したら癖になるボルヘス作品を、ぜひ読み進めていってほしいと思う。
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