『続審問』 ボルヘス(岩波文庫)

続審問 (岩波文庫)続審問 (岩波文庫)
(2009/07/16)
J.L. ボルヘス

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書名:続審問
著者:ホルへ・ルイス・ボルヘス
訳者:中村 健二
出版社:岩波書店
ページ数:406

おすすめ度:★★★★




ボルヘスのエッセイ・評論を集めたものがこの『続審問』である。
本書は、かつて『異端審問』というタイトルで晶文社から出版されていたものが、近年になって『続審問』と名を変えて岩波文庫入りしたものだが、訳者は変わらないので、どちらの版でも訳文にそう大きな異同はないだろう。
ボルヘスの博識が織り成す世界観は、独特ではあるものの妙に説得力があり、ボルヘスの他の作品を知らない読者でも大いに楽しめる一冊となっている。

ボルヘスといえば『伝奇集』のような短編小説集が日本では最も有名だろうが、実際には彼は詩人でもあり、評論集や講演集をも出版している。
そしてその評論集はといえば、短編小説に負けず劣らずの面白さで、ボルヘスの膨大な読書量を駆使するには、評論の方が向いているという印象さえ受ける。
いずれにしても、読者は博識な作者の知見に触れることができるわけだから、非常に勉強になる本であることは間違いない。

世にもまれな読書家であるボルヘス、彼がその知見を存分にふるって書いた小論から成る『続審問』を理解するには、当然ながら読む側も豊かな知識を持っているに越したことはない。
とはいえ、研究者などならいざ知らず、一般の人が彼の読んだであろう本のすべてを読むことは非常に困難であろう。
むしろ、ボルヘスの言及をきっかけに次に読む本を決めるくらいのスタンスで臨んだほうがいいのかもしれない。

ボルヘスの評論集で文庫化されているものはあまり多くはない。
そんな中、最も興味深いものの一つである『続審問』が文庫化されたというのは、ボルヘスファンにはとてもうれしいニュースだ。
これを機に、豊穣な知の源泉のごときボルヘスがますます多くの読者を獲得することを期待したい。
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