『居酒屋』 エミール・ゾラ(新潮文庫)

居酒屋 (新潮文庫 (ソ-1-3))居酒屋 (新潮文庫 (ソ-1-3))
(1970/12)
ゾラ

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書名:居酒屋
著者:エミール・ゾラ
訳者:古賀照一
出版社:新潮社
ページ数:740

おすすめ度:★★★★★




ナナ』と並び、ゾラの代表作とされるのが本作『居酒屋』。
主人公であるジェルヴェーズの境遇の浮き沈みが大きく、それだけ興味深く楽しめる作品となっている。

当時、ほとんど売れていなかったゾラを一躍有名作家にしたのがこの『居酒屋』でもある。
それまでの上流階級の腐敗を描いたものや、田舎町プラッサンを舞台にしたものと比べて、パリの庶民生活を赤裸々に描いた『居酒屋』は、より多くの読者を獲得しやすかったのかもしれない。
人々の内面の汚いところをも描き出そうというゾラの傾向からか、登場人物の性格等をやや醜悪にし過ぎたきらいもないではないが、そこらへんも含めてゾラを心行くまで楽しむことのできる作品だ。

さらに、本作に登場するジェルヴェーズの子供たちも、後々他の作品の主人公として大きな役割を果たすことになる。
制作』のクロード、『ジェルミナール』のエティエンヌ、そしてその名を表題に持つナナ。
以降の登場人物を準備した『居酒屋』は、ルーゴン・マッカール叢書中において、『ルーゴン家の誕生』に次ぐ、その後の傑作の起点と言っても過言ではないだろう。
『居酒屋』と上に挙げた作品を読んでみるだけでも、マッカール家の一支流の運命が一望でき、ルーゴン・マッカール叢書の執筆にあたり、遺伝的・社会的要因を重視したゾラの広大なビジョンの片鱗を垣間見るという楽しみ方もできるように思う。
「行間」ならぬ「作品間」を楽しむことができるというのが、連作の醍醐味ではなかろうか。

やや長めの長編小説ではあるが、文庫本で一冊になっているというコンパクトさもうれしいところ。
筋の起伏もあるので読みやすく、ゾラらしさ、自然主義文学らしさも存分に発揮されているので、初めてゾラを読むという人にも堂々とおすすめできる名作である。
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