『ボルヘスのイギリス文学講義』 ボルヘス(国書刊行会)

ボルヘスのイギリス文学講義 (ボルヘス・コレクション)ボルヘスのイギリス文学講義 (ボルヘス・コレクション)
(2001/02)
J.L.ボルヘス、M.E.バスケス 他

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書名:ボルヘスのイギリス文学講義
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:中村 健二
出版社:国書刊行会
ページ数:196

おすすめ度:★★☆☆☆




英米文学の教授をしていたボルヘスによる、イギリス文学を広く浅く紹介した本がこの『ボルヘスのイギリス文学講義』である。
英語での原題は「An introduction to English literature」で、イギリス文学初心者向けの総覧といった本だ。
「文学講義」というほど堅苦しい内容ではないので非常に読みやすいが、ボルヘスのファンからするとあっさりとした記述に少々残念な気がすることだろう。

紙幅に限りがあるので個別の作品に深入りすることはほぼなく、イギリス文学史に名を残す作家の伝記的事実の説明や、大雑把な作風の解説が主である。
イギリス文学という歴史あるテーマを論じているわりに、文章量自体は決して多くないため、名だたる作家でさえもが数ページ、もしくは数行で終えられるので、本書はあたかも走馬灯のような雰囲気を帯びている。
一般のイギリス文学史と比べると取り扱う作家や作品にむらや偏りがあるが、逆を言えば、その偏りが著者であるボルヘスの関心を探る指針とはなるだろう。
続審問』などの評論で言及される作家が、この『ボルヘスのイギリス文学講義』でどのように触れられているのかを見てみるのはなかなか面白い。
読書案内―世界文学 (岩波文庫)読書案内―世界文学 (岩波文庫)
(1997/10/16)
サマセット・モーム

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同様の本としてお勧めなのは、モームの『読書案内―世界文学』だ。
こちらはイギリス文学、ヨーロッパ文学、アメリカ文学の三章から成っている本で、ボルヘス同様、読書に楽しみを求めるモームの推薦は、次に読む本を決める際に大いに参考になることだろう。

『ボルヘスのイギリス文学講義』という書名から想像するような、ボルヘス流の文学論を期待すると、がっかりすることになるかもしれない。
原題については先ほども触れたが、「文学講義」などという大仰なタイトルではなく、原題に即したもの、それこそ『読書案内』のようなものにするか、もう少し内容に沿ったものにしてくれれば、期待外れの感がいくらか薄れたに違いない。
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