『ボルヘスの「神曲」講義』 ボルヘス(国書刊行会)
![]() | ボルヘスの「神曲」講義 (ボルヘス・コレクション) (2001/05) ホルヘ・ルイス ボルヘス 商品詳細を見る |
書名:ボルヘスの「神曲」講義
著者:ホルへ・ルイス・ボルヘス
訳者:竹村 文彦
出版社:国書刊行会
ページ数:203
著者:ホルへ・ルイス・ボルヘス
訳者:竹村 文彦
出版社:国書刊行会
ページ数:203
おすすめ度:★★★☆☆
欧米文学の中でダンテの『神曲』を最も優れた作品とみなしていたボルヘスによる『神曲』論が、この『ボルヘスの「神曲」講義』だ。
十ページ程度の小論を連ねたものなので、『神曲』の入門書としてはいまひとつであり、同様に『神曲』全体に対する概観を求める読者にも不向きかもしれないが、『神曲』を読んでいて、なおかつボルヘスのファンであれば楽しめる本であろう。
そういう意味では、読者は限定的とならざるをえないかもしれない。
『ボルヘスの「神曲」講義』は、序章と九つの論考を一冊にまとめたものである。
『神曲』ほどの古典的名作ともなると有名な場面がいくつもあるが、ボルヘスはそれらのうちのいくつかにも触れている。
『七つの夜』の中の「神曲」の夜など、ボルヘスが残したその他の評論や講演と合わせて読めば、『神曲』への興味が高まるに違いない。

『神曲』を題材にした絵画を描いた画家は少なくないが、『ボルヘスの「神曲」講義』にはその中で最も有名な画家の一人であるブレイクの挿絵がカラーで数枚入っている。
右は、その中でさらに最も有名であろうと思われる、『グリフォンの引く凱旋車 ダンテを叱責するベアトリーチェ』。
煉獄篇第29~30歌の一場面を描いたもので、華やかな彩りの美しさに、ベアトリーチェとの再会を喜ぶ気持ちと、これから天国へと向かう期待がにじみ出ている秀作である。
ボルヘスの作品にも多大な影響を及ぼしている『神曲』、その影響は具体例を示してくれている解説からも窺うことができる。
ボルヘスと『神曲』の関係性を知る上で最適の本であることは間違いないだろう。
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