『ビリー・バッド』 メルヴィル(圭書房)

ビリー・バッドビリー・バッド
(2009/08/07)
ハーマン・メルヴィル

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書名:ビリー・バッド
著者:ハーマン・メルヴィル
訳者:留守晴夫
出版社:圭書房
ページ数:216

おすすめ度:★★★★




白鯨』の作者として知られるハーマン・メルヴィルだが、彼の最後の作品がこの『ビリー・バッド』だ。
作品の舞台は軍艦の船上なので、海洋小説の一つとして読むことができる。
一般に高い評価を得ている作品でもあるし、船乗りを描いた作品でもあるので、『白鯨』の次に手に取るメルヴィルの作品としては最適だと思う。

主人公のビリー・バッドは、素直で陽気な船乗りである。
ひょんなことから軍艦上の人となったビリーだが、持ち前の純真無垢な性格から、一躍水兵たちの人気の的となる。
しかし、そんなビリーにも、敵意を感じる人間が現れて・・・。
ここも『白鯨』に似ているところだが、印象的な船長の言動は非常に読み応えがある。
ビリーと船長とのやり取りはこの物語の軸となる部分なので、ぜひ注意深く読み込んでいただきたいところだ。

白鯨』を読んだ読者ならばすでにご存知だろうが、メルヴィルの紆余曲折を経る書き方は、なかなか話を前に進めない。
『ビリー・バッド』も同様で、あらすじだけを追っていくのなら、同じ物語を短編小説にまとめることもできたことだろう。
しかし、メルヴィルは背景となる状況や人物像の描写にあらかじめ多くのページを割くので、後のストーリー展開が一段と深みを持つことになる。
蛇足を嫌う読者には不向きかもしれないが、私は個人的にメルヴィルの蛇行する作風を、作品に味わいを添えるものとして評価したい。
ビリー・バッド (岩波文庫 赤 308-4)ビリー・バッド (岩波文庫 赤 308-4)
(1976/01/16)
メルヴィル

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近年、圭書房をはじめとする複数の出版社からメルヴィルの作品の新訳がいくつか出されているので、それらを機にメルヴィルの名作がより多くの読者を獲得することを期待したい。
とはいえ、圭書房から出された留守晴夫氏によるこの新訳は、仮名遣いや漢字の古さゆえに少々読みにくいのも事実だ。
右に示すように『ビリー・バッド』は岩波文庫からも出されているので、そちらで読むのもいいかもしれない。
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