『創造者』 ボルヘス(岩波文庫)

創造者 (岩波文庫)創造者 (岩波文庫)
(2009/06/16)
J.L. ボルヘス

商品詳細を見る

書名:創造者
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:鼓 直
出版社:岩波書店
ページ数:206

おすすめ度:★★★★★




自らを詩人と名乗っていたボルヘスが、自身最高の出来とみなしていた詩文集がこの『創造者』だ。
ボルヘスという作家の中心に位置する作品と言っても過言ではないくらい、ボルヘスの作品における重要な構成要素がぎっしりと詰まった一冊なので、ボルヘスを初めて読む人にもお勧めできるし、ボルヘスのファンならこれは必読である。

『創造者』は、「詩文集」として紹介されているが、これは「詩的な散文」と解釈してもおそらく大きな間違いにはならないだろう。
とはいえ、「詩文」であるということをあらかじめ意識せずとも、読者の美的感覚が、読み進めていくうちにおのずとこれは詩であるとみなすものと思う。
事実、『創造者』は散文としても読めるほどに読みやすく、それでいて喚起されるイメージの豊かさや奥深さは計り知れないときている。
同様の読後感を与えることのできる本はそう多くないはずだ。

『創造者』には、ボルヘスが多用するモチーフの大半が登場する。
ボルヘスの作品を複数読んでいると、それらの繰り返しにより、まさしくボルヘスの手になる文章を読んでいるのだという独特の感じが味わえる。
長編作品を書かなかったボルヘスだからこそ、長編を読んだつもりで、短編や詩集、評論や講演集など、ぜひいろいろな作品を読んでみていただきたい。
きっとそれらが一人の創造者から生まれたものであるということに納得していただけることだろう。

年に数冊の割合で、なぜこれまで文庫化されていなかったのか不思議に思えるほど素晴らしい本が、文庫版で登場する。
あくまで主観的な判断であるが、ボルヘスの『創造者』はそういった本の一つだ。
他の作品にはないほどに濃密なボルヘスに触れることができるこの『創造者』、文庫化を機に、多くの人々に読まれることを願わずにはいられない名作だ。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク