『序文つき序文集』 ボルヘス(国書刊行会)

序文つき序文集 (ボルヘス・コレクション)序文つき序文集 (ボルヘス・コレクション)
(2001/10)
ホルヘ・ルイス ボルヘス

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書名:序文つき序文集
著者:ホルへ・ルイス・ボルヘス
訳者:牛島信明、久野量一、内田兆史
出版社:国書刊行会
ページ数:386

おすすめ度:★★★☆☆




ボルヘスがスペイン語に翻訳した訳書や、第三者の作品に付するために書いた序文の中から38編を集め、そこにさらに序文を付したのがこの『序文つき序文集』である。
シェイクスピアやカフカ、セルバンテスやメルヴィルといった有名な作家の作品に寄せた序文は、大いに読者の興味をそそることだろう。
しかしその反面、本書に収められている序文の大半はアルゼンチンを中心とした南米の作家の作品に対して書かれたものであり、それらの作品は邦訳が存在しないものが多いため、本書は必然的に日本でほぼ無名である作品・作家に割かれるページ数が大半を占めてしまっている。
そういうわけで、たいていの読者は非常に興味を持って読める序文と、あまり興味をそそられない序文との間を往復することになるものと思われる。

『序文つき序文集』には、上述の作家たちに加え、今日の日本ではあまり読まれていないように思うが、ボルヘスが好んだ作家であるカーライルやエマソンの作品への序文も含まれているので、ボルヘスの嗜好を知っている人にはうなずける選抜だと感じられるはずだ。
他に有名どころの作家を挙げると、ホイットマン、ヘンリー・ジェイムズ、ギボン、ウィルキー・コリンズ、ヴァレリー、ルイス・キャロルがいる。
また、本書を読み通せばアルゼンチンの、特にガウチョを主人公とした文学について、その輪郭をつかむことができる。
とはいえ、それも作者とは異なる第三者が記した序文からの推察に過ぎないのだが・・・。

本編へと続くことのない序文の集合体を楽しめるとすれば、それは本編のあらすじを知っているか、せめて本編を物した作家のことを知っているかのいずれかであるように思うのだがいかがだろうか。
この考えに同意していただけるのであれば、世界文学のみならずアルゼンチンの文学にも精通している人は別として、この『序文つき序文集』は楽しめる部分が非常に限られてくるとみなすことができよう。
結論として、本書はボルヘスの書いたものならすべて読みたいという人向けの一冊ということになると思う。
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