『ジェルミナール』 エミール・ゾラ(論創社)

ジェルミナールジェルミナール
(2008/12)
エミール ゾラ

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書名:ジェルミナール
著者:エミール・ゾラ
訳者:小田 光雄
出版社:論創社
ページ数:702

おすすめ度:★★★★★




ルーゴン・マッカール叢書、第十三巻目に当たるのがこの『ジェルミナール』。
ゾラの作品の中で、これは非常にお勧めのものの一つだ。
ストーリー展開も非常にダイナミックで、躍動感に満ちた登場人物にあふれ、ついつい先が気になってページを繰ってしまうというゾラの傑作の一つだろう。
個人的には、ゾラの代表作としてもっと読まれてしかるべき作品だと思う。

「ジェルミナール」とは、フランス革命暦における一つの月の名前で、日本語では「芽月」と訳されることが多い。
現今の暦では三月下旬から四月上旬に当たり、日本ではちょうど桜のほころぶ季節。
ただ、作品の中で流れる時間的スパンは比較的長く、必ずしもストーリーが「ジェルミナール」と直結していないようにも思える。
ゾラはなぜこのタイトルを選んだのかと読後に考えてみるのも面白いだろう。

舞台は劣悪な環境の中で貧しい労働者たちがひしめく鉱山町。
資本家たちの都合で運営される鉱山でいいように使われていた労働者たちが、渦巻く怒りを胸にストライキに突入、そして貧苦の末に・・・。
読み進めていくうちに、多くの読者がプロレタリア文学臭さを感じるのではなかろうか。
事実『ジェルミナール』は、ゾラの社会思想をも推し量ることができるような、そんな作品だ。
様々な視点からの鑑賞に耐えうる豊かさを内に秘めているので、論文のテーマに困っている学生にも多くのヒントを与えてくれるかもしれない。
坑夫 (新潮文庫)坑夫 (新潮文庫)
(2004/09)
夏目 漱石

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これは余談だが、『ジェルミナール』にやや遅れて、日本では漱石が『坑夫』という小説を発表している。
自暴自棄になった青年が鉱山労働者になろうとするところから始まる、こちらも鉱山を舞台にした物語で、『ジェルミナール』と合わせて読んでみるのも興味深いように思う。
とはいえ、叢書中の他の作品との内容的連関も少ない『ジェルミナール』は、ただこれだけを読んでも十分楽しめる優れた作品として、強くお勧めしたい。
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