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『トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇』 トルストイ(岩波文庫)

トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)
(1966/01)
トルストイ

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書名:トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇
著者:トルストイ
訳者:中村 白葉
出版社:岩波書店
ページ数:217

おすすめ度:★★★★★




アンナ・カレーニナ』以降、トルストイは道徳的・教訓的な作品を多く発表するようになるが、大衆向けに書かれた民話風の作品九編を収めたのが本書『トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇』だ。
全般にロシアの大地の香りが強い物語が多く、伸びやかな気持ちにさせられるのと同時に、読者は文豪トルストイが描く素朴で善良な生き方に感動すら覚えることだろう。
『イワンのばか』というタイトルは知っているけれども内容を知らないという方々に、ぜひ読んでいただきたい作品だ。

表題作である『イワンのばか』は、正直であるが愚かでもあるイワンが、悪魔につけねらわれる物語である。
一言で「愚か」とは言ってもいわゆるお人好しタイプであるイワンは、処世術や打算に関してとことん無能な男なので、人の欲望に付け込もうと企む悪魔もそんなイワンが相手では一筋縄ではいかず・・・。
結局のところ「ばか」とはどういう意味なのか、「ばか」でないとはどういうことなのかを考えさせられる作品だ。
そして私のように「ばか」に強い魅力を感じる読者も必ずやいることと思う。

子供でも読める民話・寓話という体裁を採った『イワンのばか』のような作品から感じ取られる含蓄の深さは、読み手が投影する精神性の深みに比例するように思う。
つまり、読者は自身の経験や思考を、作家が提示する単純なストーリーの背面に読み込むことができるのではなかろうか。
そういう意味では、難解な哲学書などより、平易な文体で書かれた『イワンのばか』のような作品こそ、自らの成熟度を計る試金石としての役割を担うにふさわしい本なのかもしれない。

作品のスタイルがスタイルだけに、『イワンのばか』のトルストイの全作品中における読みやすさは群を抜いているので、読者を選ばないことだろう。
私はこの本に出会ったのが少々遅かったが、子供のうちに一度読んでおいて大人になってからまた読んでみたい、そんな一冊だ。
トルストイの寓話をもっと読みたいという方には、同じく岩波文庫から出されている『トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇』をお勧めしたい。
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