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『論議』 ボルヘス(国書刊行会)

論議 (ボルヘス・コレクション)論議 (ボルヘス・コレクション)
(2001/01)
ホルヘ・ルイス ボルヘス

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書名:論議
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:牛島 信明
出版社:国書刊行会
ページ数:307

おすすめ度:★★★☆☆




ボルヘスが比較的若い頃のエッセイを中心に、20編をまとめたものがこの『論議』である。
ボルヘス初期の作品であるにもかかわらず、アルゼンチンの詩や神学をテーマにしたものなど、晩年の講演集である『七つの夜』でも言及のあるテーマが少なからず見出されるので、ボルヘス後期の作品と合わせて読めば、長い間にわたってボルヘスという作家の根底に横たわっていた思想やイメージを読み解くことが可能となるだろう。
哲学・思想に関する記述も少なくないので、いくらか難解に感じられる読者もいるかもしれないが、ボルヘスに興味がある人にはお勧めだ。

主として文学を論じた20のエッセイから成るのがこの『論議』だが、いくつかそのテーマが重複しているものもある。
具体的には、ホイットマン、フロベール、アキレスと亀のパラドックスなどがそうである。
非常に高く評価していたホイットマンに関する言及はボルヘスの作品中に散見することができるし、ボルヘスの作風を思えば彼がパラドックスを嫌うわけがないというのもうなずけるのだが、これまでフロベールとその作品に対しての評言が多いという印象は持っていなかったので、少々新鮮な気持ちでそれを読むことができた。

いつもながら原文の参照などしていないし、あくまで直感的な判断でしかないのだが、本書『論議』の文体は、ボルヘスの書くものにしてはやや生硬であるような感じを受けた。
ひょっとすると、それは若き日のボルヘスと老年のボルヘスの書き方の差異なのかもしれない。
若い頃の作品に冷淡な態度を取りがちなのがボルヘスであるというのも、このことが一因なのだろうか。

ボルヘスのエッセイ集といえば、単なる評論の域を超え出た、非常にボルヘスらしい創造力に満ちた一冊である『続審問』が最もお勧めだが、初期の思想を読み取ることのできるこの『論議』もたいへんに興味深い本ではある。
とはいえ、『伝奇集』に始まる一連の短編小説に魅了された読者には『続審問』の方をお勧めしたい。
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