『人生論』 トルストイ(新潮文庫)

人生論 (新潮文庫)人生論 (新潮文庫)
(1975)
トルストイ

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書名:人生論
著者:レフ・トルストイ
訳者:原 卓也
出版社:新潮社
ページ数:220

おすすめ度:★★☆☆☆




トルストイが人生、生命、幸福などに関する自らの思想を述べたものがこの『人生論』だ。
そのタイトルからもわかることだが、これは小説ではなく論文調で書かれたものなので、誰もがすらすら読める本というわけではないだろう。
キリスト教への「回心」後の作品のため、必ずしもロシア正教の正統教義に則ってはいないとはいえ、全体に宗教色の強い論旨となっている。

作家として順調なキャリアを築いていたトルストイは、『アンナ・カレーニナ』の発表後、徐々に道徳・宗教へと傾倒していき、その思想に従った小説、論文、民話を執筆するようになるが、それらの論文の中で最も普及しているものがこの『人生論』だろう。
そういう意味では、後期トルストイの思想に関心のある方には必読の書であると言える。
復活』や『クロイツェル・ソナタ』と合わせて読むと、後期トルストイの考えや傾向性を把握することができるに違いない。

トルストイが独自の思想を述べた『人生論』だが、必ずしも思想書として優れているかというと、やや疑問を持たざるをえない。
論を進めるに当たって、前提条件に無理があったり、いささか強引な結論付けがあるように私には感じられたのだ。
ただ、思想書の評価は、読者がその主張に共感できるかどうか、この点に左右される部分が非常に大きいように思うので、結局は私がトルストイの思想に共感できない部分が多いと述べているに過ぎないのかもしれないが・・・。
当たり前のことではあるが、『人生論』の評価は読者によりけりになるものと思う。

『人生論』を読み終えて、トルストイは優れた小説家であって優れた哲学者ではない、私はそういう印象を受けてしまった。
とはいえ、あくまで文豪トルストイの人生観や思想を知る上では非常に興味深い一冊であることは疑いようもない。
そういうわけで、トルストイの後期作品に親しんだ読者にお勧めしたい本だ。
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