『イワン・イリッチの死』 トルストイ(岩波文庫)

イワン・イリッチの死 (岩波文庫)イワン・イリッチの死 (岩波文庫)
(1973/01)
トルストイ

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書名:イワン・イリッチの死
著者:レフ・トルストイ
訳者:米川 正夫
出版社:岩波書店
ページ数:105

おすすめ度:★★★★




トルストイの中編作品として知られ、短いながらも読み応えのある傑作として人気の本が、この『イワン・イリッチの死』だ。
トルストイが「回心」した後の作品なので、いくらか宗教臭さが感じられないでもないが、さほど気にならないように思う。
一日で読める文章量にもかかわらず、トルストイの魅力を存分に伝えている作品としてお勧めだ。

『イワン・イリッチの死』は、イワン・イリッチの知人たちが彼の訃報に接するところから始まり、その後イワンの生涯と、死に至るまでの模様が語られるという作品だ。
苦しい闘病生活、家族とのやり取り、迫りくる死に対する苛立ち・・・印象的な場面の連続で、つい一気に読み通してしまう作品である。

トルストイは、死に瀕した登場人物たちによる数々の名場面を描いているが、『イワン・イリッチの死』もその一つに数えられるだろう。
死の瞬間というのが、人が最も死後の世界と肉薄し、それだけ必然的に人が最も神と接近する瞬間の一つであることは間違いない。
それを思えば、「回心」後のトルストイが平凡な官吏の死を執拗なまでに描ききることになった理由も首肯できるのではなかろうか。
イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)
(2006/10/12)
トルストイ

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『イワン・イリッチの死』は、『クロイツェル・ソナタ』の併録された新訳が光文社の古典新訳文庫から出されたところだ。
個人的には、米川氏の翻訳は読み慣れているしとても好きなのだが、活字のサイズや文章の読みやすさを考えれば、こちらのほうが多くの読者に受け入れられやすいのかもしれない。
いずれの訳書にしても、味読に値する『イワン・イリッチの死』をぜひ堪能していただきたいと思う。
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