『ノートル=ダム・ド・パリ』 ユーゴー(ヴィクトル・ユゴー文学館)

ノートル=ダム・ド・パリ (ヴィクトル・ユゴー文学館)ノートル=ダム・ド・パリ (ヴィクトル・ユゴー文学館)
(2000/11)
ヴィクトル ユゴー

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書名:ノートル=ダム・ド・パリ
著者:ヴィクトル・ユーゴー
訳者:辻 昶、松下 和則
出版社:潮出版社
ページ数:507

おすすめ度:★★★☆☆




ユーゴー初期の長編として知られるのが本作『ノートル=ダム・ド・パリ』だ。
かつては『ノートルダムのせむし男』という邦訳も出されていたようだが、さすがに最近では「せむし」という表現が避けられるようになっていて、『ノートル=ダム・ド・パリ』という原題が一般的になっている。
岩波文庫版が絶版になって久しかったりと、『レ・ミゼラブル』を除けばユーゴーの長編作品は入手しにくいのが現状だが、潮出版社の「ヴィクトル・ユゴー文学館」はいまだに新品での入手が可能なので、ユーゴーに関心のある方にはこのシリーズがお勧めだ。

『ノートル=ダム・ド・パリ』は、その表題のとおり、パリのノートル=ダム大聖堂を舞台にしている。
それにもかかわらず、物語を進行させていく主な要因は人間世界の愛憎である。
主要登場人物の多くが誰かを強く愛していて、彼らはその愛のために・・・。
レ・ミゼラブル』や『九十三年』にもしばしば類似の描写が見られるが、暴徒と化した群集の勢いには読者を圧倒させるものがある。
激しい情念のほとばしる人間ドラマに迫真の臨場感をもたらすあたり、さすがユーゴーと、その手腕に感心してしまわずにはいられない。
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『ノートル=ダム・ド・パリ』は、けっこう前の話になるが『ノートルダムの鐘』というディズニー映画の原作にもなっていて、現在ではおそらくこちらの映画のほうが有名だろう。
原作を知っている人からすれば、あの暗澹たるストーリーをディズニーがどうアニメ化するのかと少々不思議に思うところだが、やはり原作に大きく手を加えたハッピーなラブロマンスに仕上がっている。
幾人かの登場人物とノートルダムという舞台を提供したに過ぎないのではないかと思えてしまうほど、『ノートル=ダム・ド・パリ』はその原形を留めていないので、それぞれをまったくの別物とみなして鑑賞するほうがいいように思われる。

『ノートル=ダム・ド・パリ』にはいかにもユーゴーの筆らしい脱線部分もあるし、ストーリー自体も明るいものではない。
それでも読み終えた読者の心には確実に何かが刻み込まれる。
その「何か」を求めている方は、一度『ノートル=ダム・ド・パリ』を手にしてみてはいかがだろうか。
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