『ライン河幻想紀行』 ユーゴー(岩波文庫)

ライン河幻想紀行 (岩波文庫 赤 531-9)ライン河幻想紀行 (岩波文庫 赤 531-9)
(1985/03/18)
ヴィクトル・ユーゴー

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書名:ライン河幻想紀行
著者:ヴィクトル・ユーゴー
訳者:榊原 晃三
出版社:岩波書店
ページ数:288

おすすめ度:★★★☆☆




フランスを代表する文豪ユーゴーが、ライン河に沿って旅をした際の印象や、ライン沿いの廃墟に関して知りえたエピソードなどを綴った作品がこの『ライン河幻想紀行』である。
原書のタイトルは『LE RHIN』らしいので、「幻想紀行」という邦題は本書独自のもののように思われるが、大自然に包まれながら太古のロマンに浸ったユーゴーによる詩的な描写に加え、幻想的なエピソードを数多く収録していることから、この邦題もどこかしっくりときている感じがする。
また、本書には当時のラインの様子を伝えるために数々の挿絵があり、中にはユーゴー自身のスケッチも収められているので、ユーゴーのファンであれば必ずや楽しめるはずの一冊だ。

『ライン河幻想紀行』は抄訳とのことであるが、オリジナルが数百ページにも及ぶ大著であるらしいため、本来であれば片手落ちに思えて仕方のない抄訳を嫌う私といえども、いくらかこの抄訳での出版を歓迎したい気持ちに傾いている。
すべての話がライン河とその周辺地域にまつわるものであるという共通点はあっても、全体が明確な一つのストーリーを成している作品ではないから、そこから抜粋を行ってもほとんど違和感のない仕上がりとなったのだろうか。
全般にやや歴史的な観点が強いという印象を受けたので、ある程度のドイツ史を予備知識として持っているほうがより楽しめるかもしれない。
とはいえ、挿絵も豊富で活字も大きめなので、それだけ敷居の低い本であると断言できるのもまた事実だ。

『ライン河幻想紀行』は紀行文であるから、やはり実際に現地を訪れる人が一番楽しく読めるのではなかろうか。
ドイツ行きのパック旅行といえば、メルヘン、ロマンチックなどの街道を巡るものが人気のようだが、その行程にライン河下りを加えているものも意外と多い。
ライン河を訪れる前後に本書を読めば、きっと旅先でのライン河の見え方、もしくはライン河の思い出も、一味変わった奥行きのあるものになるのではないかと思う。
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