『青年時代』 トルストイ(講談社)

青年時代青年時代
(2009/01/24)
レフ・ニコラエヴィッチ・トルストイ

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書名:青年時代
著者:レフ・トルストイ
訳者:北御門 二郎
出版社:講談社
ページ数:278

おすすめ度:★★★★




幼年時代』、『少年時代』に次ぐ、トルストイの自叙伝風作品三部作の完結編に当たるのがこの『青年時代』だ。
完結編とはいっても、明確な締めくくりがつけられているわけではなく、当初はさらなる続編を意図していたと察せられる終わり方をする作品なのだが、そもそも『青年時代』というタイトルからして人生の一時期を描くものであるとのイメージを抱くからなのか、それが読者に物足りなさを感じさせることはあまりないように思われる。
登場人物や内容が『幼年時代』、『少年時代』と密接につながっているので、それらを読まれた方は本書も楽しめること疑いなしだ。

トルストイの生き写しと思われる主人公は、『青年時代』において大学入試を体験することになる。
大人への階段を上っていく時期だけあり、自分を少しでも大人びて見せようとつい背伸びをしたがる様子が頻繁に描かれており、『幼年時代』、『少年時代』の二作の頃と比べると、高慢さや虚栄心の表れが顕著であるように思われた。
若気の至りといってしまえばそれまでのことだが、本書によって必ずしも他人事に思えない行動に触れ、恥ずかしい思いをする読者もいるかもしれない。
余談ながら、私はそういった愚かな青年時代を送ったことを自覚している読者の一人で、それゆえにこそ、この『青年物語』を人並み以上に楽しめたのだろうかとも思ってしまうほどだ。

幼年時代』と『少年時代』は岩波文庫で読んだものの、『青年時代』はなかなか新品が見つからず、今回紹介している単行本で読んだわけだが、トルストイを愛してやまない訳者による訳文はとても読みやすく、一気に読み通すことができた。
出版元もさすが講談社というだけあり、誤字脱字の類はほとんど見当たらなかったし、その内容も含めて、近年出版された良書のうちの一つに数えていいように思う。
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