『群盗』 シラー(岩波文庫)

群盗 (岩波文庫)群盗 (岩波文庫)
(1958/05/05)
シラー

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書名:群盗
著者:フリードリヒ・フォン・シラー
訳者:久保 栄
出版社:岩波書店
ページ数:221

おすすめ度:★★★★




シラーの処女作として知られる本書『群盗』は、同時にシラーの代表作であるとも言われている。
盗賊という反社会的な人々、いわゆるアウトローを主題にする作品ならではの緊迫感やスピード感に満ちていて、恋愛悲劇にはないような読者を引き込む力のある作品だ。
時代背景にも促され、若き頃のシラーが青年独特の熱意と反抗心を作品化したように思える『群盗』は、若い人々にこそ読まれるべきなのかもしれない。
もちろん、自らは血気盛んな青年期を過ぎたと感じらている読者も、若かりし日々の記憶をたどることで登場人物の心理に何らかの共感をすることだろう。

ある事件、それが読みどころの一つでもあるように思うのでその詳細は作品に譲ることにするが、その事件を受け、うら若き主人公は盗賊になる決意をする・・・。
中には極端なストーリー展開に少々納得がいかないと感じられる読者もいるかもしれないが、本で読むより鑑賞者が引き込まれやすい舞台上で演じられたなら、ほとばしるような勢いのある台詞の効果と共に、見る者を虜にするに違いない。
そのような魅力を秘めた『群盗』は、シラーの代表作としてのみならず、ドイツ文学の代表作として読まれてしかるべき作品の一つであると言えよう。
エルナニ (岩波文庫)エルナニ (岩波文庫)
(2009/07/16)
ユゴー

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表現されている精神はやや異なるが、ストーリーが『群盗』に似ているものにユーゴーの『エルナニ』がある。
こちらは山賊に身をやつした主人公のエルナニが父の復讐の機会を窺うという物語だ。
二作品の間には類似点と相違点がそれぞれ存するので、『群盗』と比較して読むと非常に興味深いのではないかと思う。

根っからの悪人ではないだけに心の揺れる主人公、彼の葛藤と逡巡は、読者にもどかしい思いをさせるより、多くの感動を与えることだろう。
新品での入手の難しい本ではあるが、ぜひ一度読んでみていただきたいと思う。
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