『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』 ゲーテ(岩波文庫)

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 (岩波文庫)
(2000/01/14)
J.W. ゲーテ

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ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈中〉 (岩波文庫)ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈中〉 (岩波文庫)
(2000/02/16)
J.W. ゲーテ

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ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈下〉 (岩波文庫)ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈下〉 (岩波文庫)
(2000/03/16)
ゲーテ

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書名:ヴィルヘルム・マイスターの修業時代
著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
訳者:山崎 章甫
出版社:岩波書店
ページ数:327(上)、380(中)、338(下)

おすすめ度:★★★★★




ファウスト』、『若きウェルテルの悩み』と並び、ゲーテの代表作とされるのがこの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』だ。
シェイクスピアと同様、多くの代表作を持つゲーテだが、後世に多大な影響を与えた詩や散文はおろか、優れた自伝まで残したとあっては、代表作を一つに絞りきることの方が無謀というものだろう。
ペーソスに満ちた作風こそ似通ってはいるが、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』は前二者とはまた趣きの異なる作品である。
文豪ゲーテの長編小説ということで、難しそうというイメージを持たれるかもしれないが、実際には肩肘張って読まなければならないような難解な本ではないので、ぜひ気軽に手にとっていただければと思う。

『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』は、恋に破れて演劇界に身を投じた主人公ヴィルヘルムの経験する幾多の出会いと別れ、そしてそれらを通じて彼が成長していく様をたいへん美しく描いている。
漠然とはしているにせよ、ヴィルヘルムの目指すものの高尚さは、多くの読者の精神を虜とするに違いない。
ヴィルヘルムの誠実さや真摯さに対しても、読者は好感を持つことしかできないのではなかろうか。
また、ミニヨンという登場人物がいるが、ゲーテの詩作品にも興味がある方は、詩の題材ともなっている彼女にいかに注目してもしすぎたことにはならないだろう。
とはいえ、彼女は読者が自ずと注目せざるをえない主要人物でもあるのだが。

ドイツ文学といえば、青年期にある主人公の精神的成長を描いた、いわゆる教養小説が一つの伝統と化しているような印象すら受けるが、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』はその初期の名作としても知られている。
ノヴァーリスやトーマス・マンとの関係性を考えた場合、ゲーテが伝統の一環を成しているというより、彼がその伝統を築き上げたと言っても決して言い過ぎではないだろう。
そういう意味では、ドイツ文学史においても本書は非常に重要な地位を占めているとみなすことができるはずだ。

『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を気に入られた読者は、少々とっつきにくく感じられるかもしれないが、より思弁的な内容である続編の『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』へと読み進めていただきたいと思う。
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