『親和力』 ゲーテ(講談社文芸文庫)

親和力 (講談社文芸文庫)親和力 (講談社文芸文庫)
(1997/11/10)
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

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書名:親和力
著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
訳者:柴田 翔
出版社:講談社
ページ数:474

おすすめ度:★★★★




ゲーテ晩年の長編小説である『親和力』。
ストーリー性が強く、テーマの扱い方も直接的であるため、『ファウスト』や『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』と比べると親しみやすい作品であるように思う。
恋多き人生を送ったゲーテならではの一風変わった恋愛小説の傑作としてお勧めしたい。

親和力とは、化学物質が結合する際の互いを引き合う力のことだが、人々の心が惹かれ合う関係性もそれに等しいのではないか、という仮説を立証、もしくは反証する小説が『親和力』だ。
道徳堅固なはずの夫婦それぞれが、友人や親戚に恋心を抱き始め、彼らの家庭に三角関係ならぬ四角関係が生じることとなる。
彼らは意志の力でその危機を乗り越えようとするが・・・。
好悪の感情の必然的な発生を感じながらも理性によるその陶冶を試みる人々、感情を押し殺し義務に従おうとする人々をどうとらえるかは時代によっても移り変わってきているだろうが、同様のテーマに悩む人は人類が存在する限りいなくなる事はないのではなかろうか。

ゲーテの作品には、彼の実体験を基にして構想されたものも多く、この『親和力』もそのうちの一つであると言われている。
還暦を迎えようという齢に達してなお若き乙女に恋心を抱くことができるという、美を愛でる詩人の感性をうらやんだらよいのかどうか、判断に迷うところではあるが、そのような感受性の産物として『親和力』のみならず数々の詩作品が生まれたことを思えば、少なくとも我々ゲーテの読者は年甲斐もないなどと非難することは許されないのかもしれない。

好感の持てる登場人物たちの織り成す物語である『親和力』。
ゲーテ円熟期の傑作として、これまでゲーテの作品を読んだことのない方にもお勧めしたいと思う。
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