『郷愁 - ペーター・カーメンチント』 ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)

郷愁―ペーター・カーメンチント (新潮文庫)郷愁―ペーター・カーメンチント (新潮文庫)
(1956/08)
ヘッセ

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書名:郷愁 - ペーター・カーメンチント
著者:ヘルマン・ヘッセ
訳者:高橋 健二
出版社:新潮社
ページ数:200

おすすめ度:★★★★




ヘッセ最初期の作品として知られている『郷愁 - ペーター・カーメンチント』は、同時にヘッセの出世作でもある。
発表年が『車輪の下』と非常に近く、作品の帯びる雰囲気も似ているので、『車輪の下』を気に入られた読者であればおそらくこちらも気に入っていただけることだろう。
哀愁に満ちた故郷の詩的描写に優れている本作は、現在故郷を離れて暮らしている方、もしくは故郷を離れた経験のある方に特にお勧めしたい作品だ。

故郷を離れた若き主人公、ペーター・カーメンチント。
夢を抱いて出て行った都会で、甘くもあり辛くもある多くの経験を経た彼が、自らの心の奥底に見出したものとは・・・。
『郷愁』は、その邦題からも予想できるかもしれないが、寂しいながらもどこか懐かしく、そして温かく包み込んでくれるような雰囲気の作品となっている。
緩急のつけられた作品中の時間の流れも、それが緩んでいるときには、読者にゆったりとした心地よさを与えてくれることだろう。
『郷愁』を、ヘッセの作品の中で最も優しい色合いに染まっている小説作品と言っても過言ではないのではなかろうか。

作風が似通っているにもかかわらず、あれほど有名な『車輪の下』と比べると、この『郷愁 - ペーター・カーメンチント』は翻訳の種類も少なく、あまり読まれていない作品なのかもしれない。
しかし、ヘッセの最初期の作品である『郷愁』は、後年の作品に見られる難解さが少なく、それだけ詩的表現の柔らかさを存分に堪能できる小説となっているため、ヘッセを初めて読む方が手に取るにも最適の本であるように思う。
好感の持てる青年ペーターに導かれて、ぜひヘッセの創り出す叙情世界を味わってみていただきたい。
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