『春の嵐 - ゲルトルート』 ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)

春の嵐―ゲルトルート (新潮文庫)春の嵐―ゲルトルート (新潮文庫)
(1950/12)
ヘッセ

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書名:春の嵐 - ゲルトルート
著者:ヘルマン・ヘッセ
訳者:高橋 健二
出版社:新潮社
ページ数:246

おすすめ度:★★★★★




ヘッセ初期の傑作の一つに数えられる小説作品『春の嵐 - ゲルトルート』。
ヘッセの代表作である『車輪の下』とほぼ同時期に発表された『春の嵐 - ゲルトルート』だが、私にはこの二作品の優劣がつけがたく、『車輪の下』よりも『春の嵐 - ゲルトルート』のほうを好むという読者がいたとしてもまったく不思議には思わない。
ヘッセの作品を好きな方ならば必ずや楽しめるであろうし、ヘッセの作品に触れたことのない方が本書から始めてみるのも悪くないように思う。

不幸な事故により障害を抱えて生きることになった主人公クーン。
ヒロインのゲルトルートに密かな思いを寄せている彼だが、ゲルトルートはクーンの友人と結婚することになり・・・。
他の作家が同様のテーマを扱ったならば平凡な恋愛小説に止まったかもしれないが、そこは作品において人生に対する洞察まで掘り下げるのが特長のヘッセのことだけあり、この『春の嵐』も非常に深みのある作品に仕上がっている。
人間の絆〈上〉 (岩波文庫)人間の絆〈上〉 (岩波文庫)
(2001/10/16)
モーム

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それが主旋律となっているわけではないにせよ、『春の嵐』は障害を持った主人公のコンプレックスを描いた作品でもあるわけだが、類似の作品として、モームの『人間の絆』を紹介しておきたい。
『人間の絆』は自伝的要素の強いモームの代表作であるが、主人公は足に奇形を持って生まれた青年である。
作品自体の長さがまるで異なりはするものの、お世辞にも詩的な作風とは言いがたい散文的な作家であるモームの作品と比較すれば、ヘッセの作品ににじみ出る詩的天分がますます引き立って感じられるのではなかろうか。

これは多くのヘッセの作品に共通して言えることだが、この『春の嵐』もやはり若い世代に訴えかける力が強い作品であるように思われる。
すべての思い悩む若者に、悩み抜いた作家であるヘッセが、何かしらの救いの手を差し伸べてくれることだろう。
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