『ミケランジェロの生涯』 ロマン・ロラン(岩波文庫)

ミケランジェロの生涯 (岩波文庫 赤 556-3)ミケランジェロの生涯 (岩波文庫 赤 556-3)
(1963/02/16)
ロマン・ロラン

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書名:ミケランジェロの生涯
著者:ロマン・ロラン
訳者:高田 博厚
出版社:岩波書店
ページ数:214

おすすめ度:★★★★




ロマン・ロランによる、数ある伝記作品の一つである『ミケランジェロの生涯』。
「最後の審判」や「ダビデ」はもちろん、「ピエタ」や「モーセ」などの傑作で知られ、ルネサンス三大巨匠の一人であるとされるミケランジェロの、一般にあまり知られていない意外な側面が明らかにされる本書は、西洋美術に興味のある方であれば必ずや楽しめることだろう。
あまり厚くない文庫本という手頃さに加え、内容にも小難しいところがないので、気軽にお読みいただけるものと思う。

筋肉質でたくましい人物像を創造したことで知られるミケランジェロだけに、その神経も図太くたくましいのかと思いきや、『ミケランジェロの生涯』に描かれている芸術家の姿には、気丈さの感じられるエピソードの背後に潜む意外な繊細さ、そして言葉は悪いが意外な凡俗さをも多分に垣間見ることができるはずだ。
本書を通じて、世界最高の芸術家の一人と言われるミケランジェロにいささか失望を感じる読者がいても何ら不思議ではないが、読者はおそらく、あの高名なミケランジェロといえども、一人の芸術家である以前に一人の人間だったという素朴な事実に気付かされることだろう。
人間味あふれる彼があれらの卓越した絵画や彫刻を残したということに、むしろ心地よい驚きを覚えるべきなのかもしれない。

同じくロランの伝記作品である『ベートーヴェンの生涯』と同様、『ミケランジェロの生涯』がミケランジェロという芸術家の全貌を明らかにしているかというと、その点に関してはやはり否定的な答えをせざるをえない。
しかし、仮にいくらか一面的なとらえ方がされているとしても、それがミケランジェロという人間の性格の示す特徴的な、また大いに興味深い一面なのであれば、それはそれで見事なとらえ方と考えることができるのではなかろうか。
そういう意味では、本書は非常に成功しているように思われる。
『ミケランジェロの生涯』を楽しまれた方には、同じくロランの伝記作品である『ミレー』を読まれることをお勧めしたい。
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