『日はまた昇る』 ヘミングウェイ(新潮文庫)

日はまた昇る (新潮文庫)日はまた昇る (新潮文庫)
(2003/06)
アーネスト ヘミングウェイ

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書名:日はまた昇る
著者:アーネスト・ヘミングウェイ
訳者:高見 浩
出版社:新潮社
ページ数:487

おすすめ度:★★★★★




ヘミングウェイ最初の長編作品で、彼の出世作ともなった作品がこの『日はまた昇る』である。
パリに住むアメリカ人記者を主人公にすえているなど、パリで特派員をしていた若きヘミングウェイの実体験を基にしている部分が多いようで、それだけ興味を引く作品でもある。
いかにもヘミングウェイらしい作風の作品なので、ヘミングウェイという作家を知る上では必読の書と言えるだろう。

パリに住む新聞記者ジェイクは、第一次世界大戦の最中に青春時代を迎えた、いわゆるロスト・ジェネレーションの一人である。
生きがいの感じられない空虚な生活を送っていた彼だが、スペインのパンプローナへと牛追い祭りを見物にいくこととなり・・・。
スペイン内戦に参加するなど、スペインとは切っても切れない間柄のヘミングウェイだけに、スペインの描写は大いに関心の的となることだろう。

短編作品でより顕著となる特徴であるが、ヘミングウェイはすべてを書ききらない作家だ。
簡潔な文体の中に、あえてほのめかしに止められている部分があり、『日はまた昇る』にもそのような婉曲的な部分がある。
読者の側には行間を読み解くという楽しさがあるが、そこを読み損ねると作品を味わいきれないというこにもなりかねない。
決して難解な小説というほどではないが、ある程度気を張って読まれることをお勧めしたい。

ヘミングウェイの他の長編作品と比べると、ストーリー展開の緊迫感やスピード感は弱めだが、必ずしも現代の日本人にも他人事とは言い切れない主人公の心理が作品の焦点となっており、その分読者が共感しやすい作品であるともいえよう。
ヘミングウェイがこの作品に『日はまた昇る』というタイトルを選んだ理由を考えながら、じっくりと読んでみていただきたい一冊だ。
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