『海流のなかの島々』 ヘミングウェイ(新潮文庫)

海流のなかの島々 上 (新潮文庫 ヘ 2-8)海流のなかの島々 上 (新潮文庫 ヘ 2-8)
(2007/06)
アーネスト・ヘミングウェイ

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海流のなかの島々 (下巻) (新潮文庫)海流のなかの島々 (下巻) (新潮文庫)
(2007/06)
ヘミングウェイ

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書名:海流のなかの島々
著者:アーネスト・ヘミングウェイ
訳者:沼澤 洽治
出版社:新潮社
ページ数:326(上)、344(下)

おすすめ度:★★★★




ヘミングウェイの死後、遺稿を整理して発表された作品はいくつかあるが、この『海流のなかの島々』もそのひとつである。
生前未発表の作品とはいえ、未完という印象を受けることはほとんどなく、ひとつのまとまった小説として読むことができる。
他に有名作品の多いヘミングウェイだけに、ヘミングウェイを初めて読む方にまでお勧めしたいとは思わないが、『武器よさらば』や『誰がために鐘は鳴る』から感銘を受けられた方は、本書も一度読んでみるべきだろう。

『海流のなかの島々』は、その表題どおり、海を舞台にした作品である。
船に乗り込み、敵を追いかけ、銃撃戦を迎える、こういうハードボイルド的な作風は、いかにもヘミングウェイらしいといえようか。
命懸けの戦闘に臨む男の描写と、ストーリーが進むに従い徐々に明かされる背景事情が本書の読みどころとなることだろう。
激烈な戦闘の陰に疲弊した男の横顔が見え隠れし、そしてその横顔がヘミングウェイに重なるようにも感じられ、戦いを巡る男たちを描いた小説に独特の味わい深さを添えている名作であるように思う。

『海流のなかの島々』は、作者の死によって執筆が中断された作品というわけではない。
現在我々が読むことのできる原稿は、概ね死の数年前には書き上げられていたのであり、なぜヘミングウェイがこの作品を発表しなかったのかを考えながら読んでみるのも面白いように思う。

生前未発表ということもあってか、ヘミングウェイの代表作というわけではないが、どこか『老人と海』や『誰がために鐘は鳴る』を想起させるこの『海流のなかの島々』、文庫本で入手できるということもあり、ヘミングウェイに興味のある方なら必ずや楽しめる作品だろう。
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