『ノート〈2〉掟の問題』 フランツ・カフカ(白水uブックス)

ノート〈2〉掟の問題―カフカ・コレクション (白水uブックス)ノート〈2〉掟の問題―カフカ・コレクション (白水uブックス)
(2006/10)
フランツ カフカ

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書名:ノート〈2〉掟の問題
著者:フランツ・カフカ
訳者:池内 紀
出版社:白水社
ページ数:324

おすすめ度:★★★☆☆




白水uブックスから刊行されたカフカ・コレクションのうち、カフカの手稿を整理・出版した「ノート」の2冊目が『ノート〈2〉掟の問題』だ。
ノート〈1〉万里の長城』と同様、あまり一般の読者には向かないかもしれないが、カフカに高い関心を持っている方ならばぜひ読んでみていただきたいと思う。

カフカにおける「掟」といえば、『審判』の中の一エピソードでもある『掟の門前』を思い出される方も少なくないだろう。
そして本書の表題作である『掟の問題』。
ユダヤ系の家族に生を受けたカフカが、人より強い「掟」の観念を持っていたということなのかもしれない。
カフカの作品をその民族性に焦点を当てて読んでみるのも興味深い読み方であると思う。
カフカ寓話集 (岩波文庫)カフカ寓話集 (岩波文庫)
(1998/01/16)
カフカ

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『掟の問題』は、岩波文庫の一冊である『カフカ寓話集』にも収録されている。
こちらも同じ池内紀氏の編訳によるもので、カフカの輪郭を浮き彫りにする優れた小品が複数訳出された、お勧めの一冊だ。
ちなみに、『カフカ寓話集』とのタイトルにはなっているものの、必ずしも収録作品のすべてが寓話として読まれるべきものであるわけではなく、あくまで便宜上与えられた「寓話」にはあまり重きを置かなくても構わないだろう。

カフカの遺稿を託された友人のマックス・ブロートが、カフカ自身のすべて焼き捨てられるようにとの遺志を裏切ったことから、カフカは世界的な名声を博するようにもなった。
しかし、ブロートらによる編集によって、まったく悪意はないまでもカフカの原稿をも裏切ることとなったのではないか、そういう懸念は古くから存在した。
できる限りオリジナルのテキストに沿った翻訳を行うべきではないのか、そういう意味合いが込められての『ノート』という表題が、本書には付されている。
カフカという作家に少しでも接近したいと考えている読者は、カフカが遺した『ノート』を紐解いてみてはいかがだろうか。
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