『マンフレッド』 バイロン(岩波文庫)

マンフレッド (岩波文庫)マンフレッド (岩波文庫)
(1960/03/05)
バイロン

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書名:マンフレッド
著者:ジョージ・ゴードン・バイロン
訳者:小川 和夫
出版社:岩波書店
ページ数:121

おすすめ度:★★★★




バイロンの代表的な劇詩といえば、真っ先にその名が挙がるのがこの『マンフレッド』ではなかろうか。
この『マンフレッド』を基に、シューマンが劇音楽を、チャイコフスキーが交響曲をそれぞれ作ったということもあり、バイロンの全作品中で最も名前の知られているものの一つとなっている。
また、ゲーテの『ファウスト』からの影響は早くから指摘されており、事実そのストーリー展開にはいくらか類似性が見られるため、バイロンに興味のある方だけではなく、『ファウスト』の読者が読んでも必ずや楽しめることだろう。
『マンフレッド』が作品自体として自立していることは言うまでもないことだが、同時に他の芸術作品との様々な連関性の下で鑑賞しうるのが『マンフレッド』の特徴でもある。

人智をきわめた男、マンフレッドは、いまだ獲得することのできぬある能力を求めて、精霊たちを面前にと呼び出す。
精霊たちとの語らいの中で、マンフレッドが見出したものとは・・・。
『マンフレッド』の読者は、人間における知性の役割とは何かを改めて考えさせられるのではなかろうか。
短い作品ではあるが読み応えは十分にあり、自らの聡明さではいかんともしがたい悩みを抱えるマンフレッドの姿は、末永く読者の記憶に止まるに違いない。

『マンフレッド』は、久しぶりに復刊になったかと思えばすぐに売り切れているという、岩波文庫にありがちな人気があるのかないのかよくわからない本の一つだ。
邦訳の出版状況からすると、バイロンに限らず、イギリスのロマン派詩人たちの作品は今日の日本ではさほど読まれていないのかもしれないが、その時代の詩人たちの作品群は、柔らかな、また力強い魅力にあふれた作品の宝庫であるように思う。
そしてこの『マンフレッド』は、剛の面と柔の面を兼ね備えた傑作として位置づけることができるのではなかろうか。
薄い分だけ安く買える本でもあるので、次の復刊の際にはぜひ読んでみていただきたい。
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