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『幸福論』 ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)

幸福論 (新潮文庫)幸福論 (新潮文庫)
(1977/01/27)
ヘルマン ヘッセ

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書名:幸福論
著者:ヘルマン・ヘッセ
訳者:高橋 健二
出版社:新潮社
ページ数:252

おすすめ度:★★★☆☆




歳を経るごとに、少なくとも数の面においては小説作品の執筆が減っていったヘッセだが、そんな彼の晩年の随想を、表題作をはじめとする全十三編を収録したものがこの『幸福論』だ。
本の紹介では全十四編と言われているが、そのうちの一つはヘッセが日本の読者に向けて書いた短い序文であるため、随想の数には入れなくともよいのではないかと思う。 
『幸福論』自体は20ページに満たない小品であり、同じく『幸福論』との表題で知られるアランやラッセルの作品のように「人間の幸福とは」といった明確な主題で貫かれている本ではないので、それだけ気楽に読める随想集であるが、ヘッセの人生哲学が直截的な言葉で語られている作品を求める方には期待外れとなるかもしれない。

『幸福論』は、『晩年の散文』と『過去を呼び返す―晩年の散文、後編』という二つの散文集から採った随想で成っている。
いずれの随想も老いを意識した老大家の、とはいえヘッセが自ら文豪を気取るようなことは決してないのだが、老境に達した作家が過去の出来事や自身の小説作品について振り返るものが多く、ヘッセの小説に親しんだ読者であれば大いに興味を持って読めるに違いない。

しかし、裏を返せば『車輪の下』などのヘッセの作品をある程度知っておかないと、何のことを言っているのかわかりにくい言及も多いので、ヘッセを初めて読む方には不向きな本であるといえる。
たとえば、収録作品の一つである『マウルブロン神学校生』などは、タイトルを読んでピンとくる読者とそうでない読者との間で読後の印象にかなりの開きがあるはずだ。
そういうわけで、ヘッセの他の作品も読んでみようと考えておられる方には、『幸福論』を後回しにされることをお勧めしたい。

閑居を望んだヘッセ、死を間近に意識しているヘッセ、優しくそして繊細なヘッセ・・・。
哀愁漂う『幸福論』には、当然のことながら小説作品以上にヘッセの人物像が浮き彫りになっている。
ヘッセのファンであれば、ぜひ手にしてみていただきたい一冊だ。
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