『マハトマ・ガンジー』 ロマン・ロラン(みすず書房)

マハトマ・ガンジー (1970年)マハトマ・ガンジー (1970年)
(1970)
ロマン・ロラン

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書名:マハトマ・ガンジー
著者:ロマン・ロラン
訳者:宮本 正清
出版社:みすず書房
ページ数:96

おすすめ度:★★★☆☆




ロマン・ロランが物した、自身と同時代に異国の地で活躍した偉人の活動の記録が、この『マハトマ・ガンジー』である。
ガンジーといえば、世界史の教科書にその名が漏れることはありえないほどの著名人であるにもかかわらず、彼の活動の実情についてはあまり知られていないのではなかろうか。
本書を紐解けば、ガンジーは数々の偉大な魂の伝記を残しているロランが強く引き付けられるだけのことはある偉大な人間だと、改めて認識させられるに違いない。
いくらか批判的な文言が添えられてはいるものの、暴力に反対し続けた平和論者のロマン・ロランが、ガンジーの選んだ非暴力を基礎にした抵抗運動に尊崇の念を抱いたこともうなずけるはずだ。

活動家という語には到底収まりきらないスケールを持つ偉人であるガンジーは、ある意味では政治家でもあり、宗教家と呼ぶことさえできるのだろうが、その肩書きにいかなるものを選んだところで、ロランがそれまで取り扱ってきた芸術家たちの伝記作品、たとえば『ミケランジェロの生涯』、『トルストイの生涯』などのように、主要な作品に順々に焦点を当てていくことで対象となる人物の生涯と思想を描き出すことは、芸術家ではないガンジーの場合、不可能な方法となる。
そこで本書『マハトマ・ガンジー』は、ガンジーの言葉を借りながら、もっぱらガンジーの思想と実践についての記述が連なることとなるが、ガンジーに関心のある読者が知りたいと思うのもまさにその点にあるのではなかろうか。
ガンジーが生涯を閉じる前に、彼の活動が継続している最中に発表された著作であるため、ガンジーの伝記として読むには欠けている部分が多いのは否めないが、インドの問題が過去の出来事になる以前に書かれたヴィヴィッドな作品としての魅力は十二分に備えているとも言えるだろう。

『マハトマ・ガンジー』は現在とても希少な本となっていて、アマゾンで売られている中古のものも決して手頃な価格ではないものの、ロランやガンジーに強い関心を持っておられる方は大いに興味深く読めるはずだ。
トルストイからの影響の少なくなかったガンジーだけに、『マハトマ・ガンジー』の読者には同じくロランの手になる伝記作品『トルストイの生涯』をお勧めしたい。
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