『アーサー・サヴィル卿の犯罪』 オスカー・ワイルド(バベルの図書館 6)

アーサー・サヴィル卿の犯罪 (バベルの図書館 6)アーサー・サヴィル卿の犯罪 (バベルの図書館 6)
(1988/07)
オスカー・ワイルド

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書名:アーサー・サヴィル卿の犯罪
著者:オスカー・ワイルド
訳者:矢川 澄子、小野 協一
出版社:国書刊行会
ページ数:182

おすすめ度:★★★★




ホルヘ・ルイス・ボルヘスによって編纂されたバベルの図書館シリーズの一冊が本書『アーサー・サヴィル卿の犯罪』だ。
表題作の他に『カンタヴィルの幽霊』、『幸せの王子』、『ナイチンゲールと薔薇』、『わがままな大男』を収録しており、ラインナップとしては非常に充実しているといえるだろう。
後者三点に関しては大いに普及している新潮文庫の『幸福な王子―ワイルド童話全集』に収められているが、『アーサー・サヴィル卿の犯罪』と『カンタヴィルの幽霊』はというと、いずれもワイルドの怪奇趣味とユーモアセンスを感じ取ることのできる佳作であるにもかかわらず、あまり接する機会の多くない作品なので、本書はワイルドの作品集としては貴重な一冊であるように思う。

タイトルを一見すると推理小説かのような印象を受ける『アーサー・サヴィル卿の犯罪』だが、「義務の研究」という副題を付されている本作はそれほどストレートなものではない。
軽妙でありつつも奥行きを感じさせるという作風は、いかにもワイルドらしいと言えるのではなかろうか。
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(2005/12/02)
アンドレアス・シュミット、マルティン・クルツ 他

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一風変わった幽霊譚である『カンタヴィルの幽霊』も、一度読んだら忘れられない非常に印象的な作品である。
右は『カンタヴィルの幽霊』を原作とするドイツの映画作品、『オスカーワイルドのカンタベリー城と秘密の扉』だ。
タイトルのみならず、登場人物や物語展開にも大きく手が加えられていて、原作はせいぜいインスピレーション源という程度であるようにも感じられるが、その割に堂々と「オスカーワイルドの」と名乗っているのは、私のようなワイルドに興味を持つ人間を引き付けようとしてのことだろうか。
いずれにせよ、ジャケットからも予想されるとおりの少年少女向けの冒険物語に仕上がっているためにとても気楽に楽しむことができ、「オスカーワイルドの」という文句に釣られてみるのも悪くないように思う。

作品数自体がそう多くないとはいえ、ワイルドの作品からわずか数点を選び出し、紙幅の限られた一冊の本に編むにあたって、ボルヘスの選択に間違いはなかったと本書の読者なら実感できるはずだ。
新品での入手は望めない本ではあるが、ワイルドのファンはもちろん、ボルヘスの趣味も色濃く反映されているのでボルヘスのファンにもお勧めしたい一冊だ。
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