『チャールズ・ディケンズの「クリスマス・ストーリーズ」』 ディケンズ(渓水社)

チャールズ・ディケンズの「クリスマス・ストーリーズ」チャールズ・ディケンズの「クリスマス・ストーリーズ」
(2011/10)
チャールズ・ディケンズ

商品詳細を見る

書名:チャールズ・ディケンズの「クリスマス・ストーリーズ」
著者:チャールズ・ディケンズ
訳者:篠田 昭夫
出版社:渓水社
ページ数:174

おすすめ度:☆☆☆☆




本書はディケンズのいわゆる「クリスマスもの」のうち、『柊屋』、『英国人捕虜の危険』、『幽霊屋敷』の三編を収録している。
ディケンズの「クリスマス・ストーリーズ」ということで、ほとんどの方が『クリスマス・キャロル』のような作品を期待されるかもしれないが、本書の収録作品はお世辞にも『クリスマス・キャロル』に似ているとは言い難い。
「クリスマス・ストーリーズ」とはいってもあまり子供向けの内容ではないし、一般受けもあまり望めないのではないかと思う。

収録作品はいずれもコリンズなどの作家との合作という形を採った作品のようだが、本書はそれらの中からディケンズの執筆部分だけを収録した「クリスマス・ストーリーズ」に沿って訳出がされている。
おおまかなあらすじは補ってくれるので読者がちんぷんかんぷんになるということはないにせよ、ディケンズが冒頭部分を担当した『幽霊屋敷』などは、中身が空っぽの枠組みだけが語られたような印象すら受けた。
それも「クリスマス・ストーリーズ」に忠実な訳書ということで仕方ないのかと思いきや、「クリスマス・ストーリーズ」には収録されていた『柊屋』の一部は本書では削除され、第一章の次に第三章が来るという具合なので、まとまった作品を読めるという期待はしないほうが賢明といえる。

ディケンズを何作品か読まれたことのある方ならばご存知だろうが、ディケンズは時として数行にわたる長い一文を書く作家だ。
それを訳出するとなると、原文を正確に読み解く力は言うまでもなく、それを表現する日本語の力にも人並み以上の才能が必要とされることだろう。
その点、これはあくまで個人的な感想なので異論・反論もあるかもしれないが、『チャールズ・ディケンズの「クリスマス・ストーリーズ」』の訳文には改善の余地があるように感じられた。

ディケンズの新訳が出ていると思って飛びついたものの、期待が大きすぎたからか、正直言って私は少々失望してしまったし、ディケンズほどの人気作家の作品であるにもかかわらず、これまであまり「クリスマス・ストーリーズ」が脚光を浴びてこなかったことにもうなずけるような気がしてしまった。
本書を楽しめるのは、「クリスマス・ストーリーズ」がどんなものなのか、ちらりと覗いてみたい方に限られるだろう。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク