スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『クオ・ワディス』 シェンキェーヴィチ(岩波文庫)

クオ・ワディス〈上〉 (岩波文庫)クオ・ワディス〈上〉 (岩波文庫)
(1995/03/16)
シェンキェーヴィチ

商品詳細を見る
クオ・ワディス〈中〉 (岩波文庫)クオ・ワディス〈中〉 (岩波文庫)
(1995/03/16)
シェンキェーヴィチ

商品詳細を見る

クオ・ワディス〈下〉 (岩波文庫)クオ・ワディス〈下〉 (岩波文庫)
(1995/03/16)
シェンキェーヴィチ

商品詳細を見る

書名:クオ・ワディス
著者:シェンキェーヴィチ
訳者:木村 彰一
出版社:岩波書店
ページ数:355(上)、359(中)、323(下)

おすすめ度:★★★★★




ポーランド出身のノーベル賞作家であるヘンリク・シェンキェーヴィチの代表作が、歴史小説であるこの『クオ・ワディス』である。
原題は"Quo Vadis"というラテン語で、かつては『クォ・ヴァディス』とも表記されていたが、最近ではよりラテン語読みに近い『クオ・ワディス』が主流のようだ。
そして聖書に由来するこの語の意味は「あなたはどこへ行くのか?」であり、本書の読者であればなおさらのこと、これが非常に意味深なタイトルであると実感できることだろう。

『クオ・ワディス』の舞台は、ネロ帝の君臨する古代ローマ。
作中にはネロをはじめ、聖ペテロや『サテュリコン』の作者と考えられているペトロニウスも登場し、歴史上の人物と創作の人物とが交じり合った一大ロマンは、その構成はもちろん人物造形に至るまで、きわめて完成度の高い作品に仕上がっているように思う。
キリスト教徒への迫害や、ローマへの放火をその最たるものとするネロの暴虐も描かれており、緊迫感あるストーリー展開が読者をとらえて放さないはずだ。

シェンキェーヴィチがポーランド人ということで、ポーランドのおかれていた政治的状況も『クオ・ワディス』の読者の脳裏をかすめずにはいない。
迫害されるキリスト教徒たちの姿は、強国に囲まれるという不運な地勢により侵略や「分割」といった被害を被っていたポーランド人たちをしばしば思い浮かばせ、この作品に悲しみの色合いを添えているようにも感じられるが、それだけ奥行きのある作品になっていることもまた事実だろう。

日本において決して知名度の高い作家ではないシェンキェーヴィチは、ひょっとすると『クオ・ワディス』以外の作品の翻訳はないのかもしれない。
しかし、小説としての『クオ・ワディス』はあまりにもよくできていて、読む者みなに感動を与えずにはおかないだろう。
訳文も読みやすい上に、新品の入手も容易であるので、全三冊という長編小説に抵抗を感じない方はぜひ読んでみていただきたいと思う。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。