『十三人組物語』 バルザック(藤原書店)

十三人組物語 バルザック「人間喜劇」セレクション十三人組物語 バルザック「人間喜劇」セレクション
(2002/03/30)
バルザック

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書名:十三人組物語
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:西川 祐子
出版社:藤原書店
ページ数:533

おすすめ度:★★★★




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「パリ生活情景」の冒頭を飾るのがこの『十三人組物語』。
「デヴォラン組頭領フェラギュス」、「ランジェ公爵夫人」、「金色の眼の娘」の三話から構成されている物語群で、それぞれの話に直接的なつながりはないが、いずれも十三人組が関与しているという点でつながっている。
『十三人組物語』を読むにあたり、『十五少年漂流記』を手にする際と同様の逡巡を覚えた方もいらっしゃるかもしれないが、十三人も登場人物が出てきたら途中で誰が誰やらわからなくなるではないか、という心配はいらない。
そこらへんは文豪バルザックがうまくやってくれている。

『十三人組物語』第二話の「ランジェ公爵夫人」が、数年前にフランスで映画化された。
右上がそのジャケットだが、映画自体は概ね原作に忠実に作られているようで、映画を先にしても原作を先にしても、違和感を覚えることなくどちらも楽しめることだろう。
私個人の意見としては、三篇のうちで「デヴォラン組頭領フェラギュス」が一番面白いように思うのだが、映像化するならやはり最も華のある「ランジェ公爵夫人」なのかもしれない。
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(2008/03/04)
オノレ・ド・バルザック

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映画化を受けてのことだろうが、三篇のうち「ランジェ公爵夫人」のみを翻訳したものが集英社から出版されていて、右がそれである。
訳者は工藤庸子先生で、確か岩波文庫で『シェリ』、『シェリの最後』など、コレットの翻訳を数点されていた方だと思う。
それらがみなすんなりと読める自然な訳文だったように記憶しているので、私は集英社版の「ランジェ公爵夫人」には目を通していないが、こちらも読みやすい訳文になっているはずだと確信している。

しかし、『十三人組物語』は三つで一つの物語群なのであるから、そのうちの一つを読むのか、三つとも読むのかによって、読後の印象は大きく異なることだろう。
映画でもそうだったが、「ランジェ公爵夫人」だけではどうしても十三人組の登場がやや唐突すぎるように感じられるし、十三人組がどのような集団であるかも非常に曖昧でしかない。
十三人組の実態に少しでも迫れるように、また、作者であるバルザックの意図を汲んで、ぜひ三篇で一つの『十三人組物語』として読んでいただきたい作品だ。
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