『感情教育』 フローベール(岩波文庫)

感情教育〈上〉 (岩波文庫)感情教育〈上〉 (岩波文庫)
(1971/03/16)
フローベール

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感情教育〈下〉 (岩波文庫)感情教育〈下〉 (岩波文庫)
(1971/04/16)
フローベール

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書名:感情教育
著者:ギュスターヴ・フローベール
訳者:生島 遼一
出版社:岩波書店
ページ数:401(上)、338(下)

おすすめ度:★★★★★



ボヴァリー夫人』と並び、フローベールの代表作とされるのがこの『感情教育』である。
フローベールの代表作として絶対的な地位を築いている『ボヴァリー夫人』と比べると、同じ代表作であるにもかかわらずやや地味な存在かもしれないが、作品としての完成度の点において劣っているわけではないように思うし、両方を読んだ読者の間で『ボヴァリー夫人』と人気を二分するとまでは言えないにせよ、『感情教育』の方を好むという読者も少なからずいるはずだ。
かく言う私も『感情教育』派の一人なので、フローベールに、19世紀のフランス文学に興味のある方には強くお勧めしたい作品だ。

若き青年フレデリックは、とある船の上でアルヌー夫妻と知り合いになり、その妻であるアルヌー夫人に恋心を抱いてしまう。
アルヌー家に出入りするようになったフレデリックと夫人の恋の行方はいかに・・・。
ボヴァリー夫人』の読者であれば、その筋書きが思い出されることだろう。
2月革命前後のパリを舞台にした作品でもあるので、作中にはその特異な時代性も垣間見られ、ストーリー展開との絡み合いもまた読者の興味をそそるに違いない。

歴史に名を残す文豪の中にも女性像が一面的だと指摘される作家がしばしばいるものだが、フローベールはその逆に女性像を創造する筆力に長けている作家の一人だ。
そしてその優れた人物像の代表格がボヴァリー夫人とアルヌー夫人で、この二人は似ているようでもあり似ていないようでもあり、作品中においてそれぞれが独特の存在感を放っているので、フローベールの描いた女性に注目して読んでみるのも面白いように思う。
とはいっても、あえて注目をせずとも自ずと女性像が記憶に焼き付けられるのがフローベールのすごさでもあるのだが。

例によって執筆に数年の歳月を費やし、フローベールが自信をもって世に送り出した『感情教育』は、今でこそフローベールの代表的な作品の一つに数えられているものの、発表当時は予想外に評判が悪かったらしい。
しかし、異国の地である日本においてもいまだに読まれ続けていることが、作品の秘めている魅力を何よりも如実に物語っているだろう。
ぜひ『ボヴァリー夫人』と合わせて読んでみていただきたい作品だ。
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