『ブヴァールとペキュシェ』 フローベール(岩波文庫)

ブヴァールとペキュシェ (上) (岩波文庫)ブヴァールとペキュシェ (上) (岩波文庫)
(1954/10/25)
フロベール

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ブヴァールとペキュシェ (中) (岩波文庫)ブヴァールとペキュシェ (中) (岩波文庫)
(1955/04/05)
フロベール

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ブヴァールとペキュシェ (下) (岩波文庫)ブヴァールとペキュシェ (下) (岩波文庫)
(1955/05/05)
フロベール

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書名:ブヴァールとペキュシェ
著者:ギュスターヴ・フローベール
訳者:鈴木 健郎
出版社:岩波書店
ページ数:210(上)、192(中)、158(下)

おすすめ度:★★★★




フローベールの死によって執筆が中断された未完の長編作品がこの『ブヴァールとペキュシェ』である。
フローベール関連の文章を読んでいるとかなりの頻度でそのタイトルに出くわすに違いない作品で、彼の代表作の一つにその名を挙げられることもあるぐらいだが、まれに復刊にあることはあっても、邦訳は入手しづらい状態が続いている。
作品の性質上、一般受けはしにくいかもしれないが、フローベールに関心のある方であれば必ずや押さえておきたい作品だ。

初老の紳士ブヴァールは、ひょんなことから生活に困らないだけの財産を持つことになった。
彼は気の合う親友ペキュシェを誘い、仕事を辞めて田舎で隠遁生活を始める。
そして彼らは知的好奇心の赴くままに、次から次へと多方面にわたる研究と実践を繰り広げることとなるのだが・・・。
風刺色が強い作品なので、『ボヴァリー夫人』や『感情教育』の読者には少々意外な作品に思えるかもしれないが、『紋切型辞典』にも見られるように、フローベールにとって風刺性は重要なファクターの一つでもあるから、それが存分に発揮された小説作品である本書は、フローベールに接近するためには貴重な作品であるということができるだろう。

百科全書的な『ブヴァールとペキュシェ』を書き上げるにあたり、フローベールがその準備のために行った読書の量の膨大さは有名だ。
農業、医学、文学、政治と、ブヴァールとペキュシェが関心を示す分野が広大であるだけに、作者の予備知識もそれを網羅していなければならないというのは理の当然ではあるが、それにしてもフローベールの一見やり過ぎとも思える徹底した姿勢からは、己の限界まで作品の完成度を高めていこうという芸術家気質が窺えるというもので、彼の生み出した作品に接する読者は畏敬の念すら抱いてしまうのではなかろうか。

未完の遺作であるとはいえ、全三冊に及ぶ『ブヴァールとペキュシェ』は、それなりにひとまとまりの作品に仕上がってはいる。
新品の入手が難しく、中古品でさえ定価以上で売られていることもしばしばではあるが、フローベールという作家像を完成させるためには『ブヴァールとペキュシェ』は必要不可欠なピースであるはずだ。
ボヴァリー夫人』とは一味違うフローベールを楽しみたい方にお勧めしたい。
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