スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ケニア』 ヘミングウェイ(アーティストハウス)

ケニアケニア
(1999/07)
アーネスト ヘミングウェイ

商品詳細を見る

書名:ケニア
著者:アーネスト・ヘミングウェイ
訳者:金原 瑞人
出版社:アーティストハウス
ページ数:563

おすすめ度:★★★★




海流のなかの島々』や『移動祝祭日』など、ヘミングウェイは死後に遺稿が出版されることの多い作家の一人だが、この『ケニア』も生前未発表の作品の一つである。
タイトルからも察せられるとおり、ヘミングウェイと密接な関係のある土地アフリカを舞台にした作品であるが、原題は表紙にもあるように"True at First Light"となっていて、『ケニア』という明快だけれども趣の乏しい表題はあくまで翻訳者もしくは出版社が付したものらしい。
作品としては未完であるし、出版に向けてヘミングウェイ自身による草稿の整理・推敲がなされていないとはいえ、500ページを超える大部の自伝的作品であり、ヘミングウェイがライフル片手にアフリカで過ごした日々を垣間見ることのできる『ケニア』は、ヘミングウェイのファンであれば大いに楽しむことができる作品だろう。
そういう意味では、アフリカ関連の作品であるということが一目瞭然となる『ケニア』という邦題も、成功していると言うべきなのかもしれない。

ヘミングウェイは最後の妻であるメアリを伴って、密猟を取り締まる狩猟管理局の一員として、キリマンジャロにほど近いケニアの草原でテント暮らしをしている。
しばしばゾウやサイを目にし、食糧のためにはガゼルやインパラを狩り、周辺にはマサイ族やカンバ族が暮らしているという環境の中で、ヘミングウェイの一団は妻のメアリの獲物と定められた一頭のライオンを追い続けている。
キャンプ地で共に生活しているカンバ族の男たちをはじめ、ヘミングウェイの友人である白人のハンターや、近隣の村に住むヘミングウェイに魅了されている若い娘など、ヘミングウェイは巧みに描き分けられた興味深い登場人物たちに囲まれており、すらすら読めてしまうあたりはさすがにヘミングウェイの作品だと感じさせるものがある。

フィクションとノンフィクションの狭間に位置する『ケニア』は、日記風のスタイルで書かれてはいるものの、真実と虚構との境目は明確には判別しがたい。
そうはいっても、サファリツアーに参加した一人のツーリストとしてではなく、現地の人々と溶け合わんばかりにアフリカで暮らした経験のあるヘミングウェイだからこそ書けた作品であることは間違いない。
新品こそ出回っていないが中古品ならば非常に安く買えるので、ヘミングウェイの見たアフリカに興味のある方にはぜひ本書をお勧めしたい。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。