『狂人日記 他二篇』 ゴーゴリ(岩波文庫)

狂人日記 他二篇 (岩波文庫 赤 605-1)狂人日記 他二篇 (岩波文庫 赤 605-1)
(1983/01/17)
N.ゴーゴリ

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書名:狂人日記 他二篇
著者:ニコライ・ゴーゴリ
訳者:横田 瑞穂
出版社:岩波書店
ページ数:232

おすすめ度:★★★★




表題作のほかに、ゴーゴリの代表的な中編小説である『ネフスキイ大通り』と『肖像画』を収録したのがこの『狂人日記 他二篇』である。
いずれもゴーゴリの作品の中ではよく知られた部類に入るが、そもそもさほど作品数の多くないゴーゴリの場合、『外套・鼻』と本書を読めば有名な中編小説はほぼ網羅したと言ってもいいほどなので、ゴーゴリに興味のある方はぜひ本書を読んでみていただきたいと思う。

『狂人日記』をはじめ、本書に収録されている作品はいずれも「ペテルブルグもの」に属しており、舞台はペテルブルグに置かれている。
『狂人日記』は、下級官吏の日記というスタイルで書かれた作品で、その官吏が長官の令嬢に空しい恋心を抱くことから徐々に狂い出していく彼の精神模様が巧みに描き出されている。
本書の中では最も短い作品だが、おそらくは最も強く読者の印象に残ることだろう。
ペテルブルグの目抜き通りを行き交う人々を描いた『ネフスキイ大通り』、怪しい力を秘めた絵画を扱った『肖像画』も、ペテルブルグに好印象を持っていなかったゴーゴリらしい作品に仕上がっており、ゴーゴリの著作を読みたいと思われる方の期待を裏切ることはないはずだ。
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(1981/02)
魯 迅

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『狂人日記』の読者にお勧めしたいのは、同じく『狂人日記』との表題で知られる魯迅の作品だ。
時代と地域は違えど、同じ表題の作品ということで興味は尽きないし、両者の相違点を意識しながら読んでみるのも面白いことだろう。
ゴーゴリにしても魯迅にしても、どちらも非常に読みやすい文章を書く作家であるため、あまり好きになれないという読者は少ないはずだ。

『狂人日記 他二篇』の収録作品には、『検察官』ほどの風刺性や『』ほどのユーモア性は見られないが、それらの特徴はやはり底流となって存在している。
ゴーゴリの見たペテルブルグを知ることのできる『狂人日記 他二篇』、ゴーゴリに関心のある方にはお勧めの一冊だ。
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