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『守銭奴』 モリエール(岩波文庫)

守銭奴 (岩波文庫 赤 512-7)守銭奴 (岩波文庫 赤 512-7)
(1973/01)
モリエール

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書名:守銭奴
著者:モリエール
訳者:鈴木 力衛
出版社:岩波書店
ページ数:179

おすすめ度:★★★★★




モリエールの数ある戯曲のうちで、最も面白いものの一つとして高い人気を誇り、舞台にかけられた回数においてもトップクラスなのがこの『守銭奴』だ。
細かいところまで配慮の行き届いた台詞回しにはモリエールの喜劇作家としての才能が存分に発揮されているし、何より喜劇として面白いことこの上ないので、『タルチュフ』と同様、モリエールを始めて読む方にも自信を持ってお勧めできる作品だ。

『守銭奴』は、いかなる欲望よりも圧倒的に金銭欲の強いアルパゴンを中心に話が進んでいく。
親が金持ちであっても、それを貯め込むことにばかり熱心であったのでは、その息子も苦労が絶えないというもので・・・。
歪んだ性格を持つ一人の曲者、『守銭奴』の場合はもちろんアルパゴンがそれに当たるわけだが、そんな彼を取り巻く常識的な人々が四苦八苦し、知恵を絞って差し迫った問題を克服していくという王道的な筋書きによって、『守銭奴』はモリエールの代表作はおろかフランス古典喜劇の代表作にまで押し上げられていると言っても、さほど大きな誤りを犯したことにはならないはずだ。

偏執的な性格の人物を数多く創出したバルザックも、金に拘泥する守銭奴タイプの人間を何人か描いてはいるが、アルパゴンほどのインパクトの強いケチな人物は彼の膨大な著作群である人間喜劇中にも見当たらないのではなかろうか。
作品自体が短く、主要登場人物も少ない『守銭奴』においては、戯画化されたアルパゴンの吝嗇ぶりがいっそう前面に押し出されやすいという事情もあるだろうが、いずれにしても、『守銭奴』の読者は単に戯曲を楽しむだけではなく、モリエールの腕前に賛嘆の念を抱かずにはいられないだろう。

これまでに何度となく版を重ねてきている『守銭奴』は、岩波文庫におけるモリエール作品の定番の一つとなっていて、いまだに新品の入手がしやすい本である。
ひょっとすると、現在では「守銭奴」という単語自体が少々古びてきているのかもしれないが、優れた性格喜劇の一つである『守銭奴』が古びることはないだろうし、本棚に加えておいて損はない一冊だと思う。
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