『美しきカサンドラ』 ジェーン・オースティン(鷹書房弓プレス)

美しきカサンドラ―ジェイン・オースティン初期作品集美しきカサンドラ―ジェイン・オースティン初期作品集
(1996/07)
ジェイン オースティン

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書名:美しきカサンドラ―ジェイン・オースティン初期作品集
著者:ジェイン・オースティン
訳者:都留 信夫(監訳)
出版社:鷹書房弓プレス
ページ数:286

おすすめ度:★★☆☆☆




表題作をはじめ、オースティン初期の作品19編を集めたのが本書『美しきカサンドラ―ジェイン・オースティン初期作品集』である。
数的には10ページそこそこの物語や「断片」が大半を占めていて、表題作の『美しきカサンドラ』などはわずか5ページの小品である。
いずれも家族や友人を読者と想定して書かれた若書きの作品であり、後の長編作品と比べれば当然ながら作品としての面白さや完成度の面に難があるので、オースティンの短編集として読むと失望するかもしれないが、オースティンの長編作品をすでにいくつか読んだことのある方であれば、随所に見られるオースティンらしさや小説家としての萌芽を楽しむことができることだろう。

本書には、軽快かつ簡潔な『美しきカサンドラ』の他に、『三姉妹』や『イングランドの歴史』、『愛と友情』や『レズリー城』などが収録されている。
後者の二作品はどちらも書簡体で書かれた小説で、ページ数でいっても50ページに満たない程度と、質・量ともに本書の中では特に読み応えがある部類に入るのではなかろうか。

それ以外の短い作品群からも、後年の長編作品におけるオースティンとはいくらか異なった、それらを特徴づけている性格を読み取ることができ、その最たるものとしては辛辣さを含んだユーモアセンスが挙げられる。
辛辣とはいっても、それはあの優しいオースティンに可能な限りにおいてのことであるから、こっぴどい毒舌が吐かれているわけではないにせよ、後年の長編作品と比べればやはり幾分温かみに欠けているようだ。
若さに伴う無邪気さなのだろうか、それとも公刊を視野に入れて書くのと身内向けに書くのとでは自ずと内容も変わってくるのだろうか、などと考えだすと、本書はいっそう興味深いものになってくるに違いない。

『美しきカサンドラ―ジェイン・オースティン初期作品集』は、収録されている物語自体を楽しむというよりは、資料的な側面が強い本と言えるかもしれない。
そういう意味では、一般受けは難しいのかもしれないが、オースティンに興味のある方であれば、本書とその続編である『サンディトン』は大いに楽しめるはずだ。
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