『サンディトン』 ジェーン・オースティン(鷹書房弓プレス)

サンディトン―ジェイン・オースティン作品集サンディトン―ジェイン・オースティン作品集
(1997/12)
ジェイン オースティン

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書名:サンディトン―ジェイン・オースティン作品集
著者:ジェイン・オースティン
訳者:都留 信夫(監訳)
出版社:鷹書房弓プレス
ページ数:286

おすすめ度:★★★☆☆




美しきカサンドラ―ジェイン・オースティン初期作品集』の続編として編まれたのが本書『サンディトン―ジェイン・オースティン作品集』である。
「初期作品集」であった一冊目から「作品集」へと副題を変更していることからも察せられるように、本書『サンディトン』の収録作品はその表題作を含めてすべてがオースティンの初期のものというわけではなく、内容的にはそれだけ優れた長編作家として知られているオースティンに接近したものとなっており、読者の興味を強く引くことだろう。

本書の収録作品は『イヴリン』、『キャサリン あるいは東屋』、『ある小説の構想』、『ワトソン家の人々』、『サンディトン』の五つである。
『イヴリン』はナンセンスで突飛な筋書きの物語で、オースティンの想像力の奔放さを楽しむことができる。
そして『キャサリン』は、未完ではあるがすでに小説としての奥行きを感じさせる作品となっている。

そうはいっても、本書で読み応えがあるのはやはり『ワトソン家の人々』と『サンディトン』の二編であろう。
いずれも未完の作品ではあるが、執筆年代としてはオースティンが本格的に小説の執筆に取り組んでいた時期でもあり、非常にオースティンらしい筆で上流階級の人々の立ち居振る舞いが描かれている。
特に架空の海岸保養地を舞台にした『サンディトン』は、作者の死によって執筆が中断された作品ということで、もしオースティンの健康がこの作品を完成させることを許していたならば、彼女の第七の長編作品として世に出されていたはずだ。
実際に書かれたのは、おそらくは全体で数百ペーに及ぶはずだった長編のわずかな部分でしかないため、先の展開を予想することは難しいが、オースティンの小説世界を好まれる方であれば十分楽しめるに違いない。

本書『サンディトン』が興味深い作品集であることは事実であるが、それも『自負と偏見』や『エマ』といった完成された長編作品があってのことだろう。
オースティンの長編作品六つを読み終え、さらにオースティンの書いたものを読みたいという方にお勧めしたい一冊だ。
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