『ドン・ジュアン』 モリエール(岩波文庫)

ドン・ジュアン (岩波文庫)ドン・ジュアン (岩波文庫)
(1975/01)
モリエール

商品詳細を見る

書名:ドン・ジュアン
著者:モリエール
訳者:鈴木 力衛
出版社:岩波書店
ページ数:119

おすすめ度:★★★★★




モリエールの代表作の一つに数えられる『ドン・ジュアン』。
スペインの伝説的な放蕩貴族であるドン・ファンを主人公に据えた喜劇作品で、滑稽味に加えていくらか深刻さも添えられていて、内容こそまったく異なるとはいえ、作風としてはどこか『孤客』を思わせるものがある。
たいへん引き締まった構成の戯曲で、モリエールの才能を存分に堪能することができる一冊として非常にお勧めだ。

モリエールの描くドン・ジュアンは、単に放蕩無頼なだけでなく、勇敢で、時に礼儀正しく、そして何より機知に富んでいる。
ドン・ジュアンと彼に従うスガナレルとの掛け合いは、ドン・キホーテとサンチョ・パンサのそれを思い出させるほどに見事なもので、タイトルロールであるドン・ジュアンの存在感には際立ったものがあるし、さらにはモリエールの他の作品にも同名の人物が多々登場する「スガナレル」の活躍も、どれだけ注目してもし過ぎたことにはならないのではなかろうか。
「あるいは石像の宴」という副題が添えられている『ドン・ジュアン』は、石像が大きな役割を担うその結末に至るまで、読者の心をつかんで離さないに違いない。
ドンファン [DVD]ドンファン [DVD]
(2007/11/28)
ジョニー・デップ、マーロン・ブランド 他

商品詳細を見る

ドン・ファンは世界的に有名な伝説的人物であるだけに、少し古いものとなるが右のようにハリウッドで映画化されてもいる。
ジョニー・デップがドン・ファンを務め、マーロン・ブランドといった名優が脇を固めており、正統的なドン・ファン伝説にあまり忠実ではないし、モリエールの作品との関連性も弱いと感じられるかもしれないが、なかなか見応えはあるはずだ。

同じドン・ファン伝説を扱った作品には、モーツァルトのオペラに『ドン・ジョバンニ』があるし、バイロンには長詩『ドン・ジュアン』、短い戯曲ながらプーシキンには『石の客』がある。
モリエール、バイロン、プーシキン、そしてモーツァルト、名だたる芸術家たちがこぞって取り上げてきたドン・ファン伝説の中で、モリエールの『ドン・ジュアン』が最も手頃に鑑賞できるものであるように思う。
ドン・ファンに興味のある方、モリエールに関心のある方など、幅広い読者にお勧めしたい一冊だ。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク