『プーシキン詩集』 プーシキン(岩波文庫)

プーシキン詩集 (岩波文庫)プーシキン詩集 (岩波文庫)

書名:プーシキン詩集
著者:アレクサンドル・プーシキン
訳者:金子 幸彦
出版社:岩波書店
ページ数:218

おすすめ度:★★★☆☆




ロシアの国民的詩人と呼ばれるプーシキンの詩、100作品以上を一冊にまとめたものがこの『プーシキン詩集』である。
決闘によって30代後半にて落命することとなり、詩人として天寿を全うしたとは言い難いプーシキンだが、本書はそんな彼の約20年にわたる作品を収めているので、詩人としての活躍期はほぼすべてを網羅していると言える。
翻訳という作業を経たことで読者がプーシキンの音感を読み取ることは不可能だが、彼が自らの詩に盛り込んだ人間性を称揚する理念はひしひしと伝わってくるので、本書の読者であればプーシキンが国民的詩人と言われていることもうなずけるのではなかろうか。

『プーシキン詩集』には、詩作品の定番とも言うべき恋愛抒情詩も多数収録されているが、プーシキンに特徴的なものとして読者の目を引くのは政治的自由をうたったものではなかろうか。
そのような思想を持ち、それを詩作品として公表していたのでは、絶対的な元首としてのツァーリを戴く政府から目を付けられるのは当然の成り行きというもので、プーシキンは地方へと事実上追放されることとなる。
そして同じく時の皇帝によって追放の身となっていたローマ時代の詩人オウィディウスに自らの境遇を重ね合わせて書いた作品も、プーシキンらしさの強い非常に興味深いものと言えるはずだ。

これはプーシキンに限ったことではないが、詩人の心の中からあふれ出す言葉を紡いだ詩作品は、詩人の伝記的事実を色濃く反映していることが多く、プーシキンの場合もその例外ではない。
本書『プーシキン詩集』は、巻末に付された解説を先に読んでおいてプーシキンの生涯を把握しておくというのも一つの読み方として悪くないように思う。

愛を、そして自由をうたい、時折垣間見える風景は雄大な北の大地を髣髴とさせる。
きわめてプーシキンらしく、さらに言えば非常にロシアらしい詩集として、ロシア文学に興味のあるすべての方にお勧めしたい一冊だ。
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