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『昔気質の地主たち―付・ヴィー(地妖)』 ゴーゴリ(岩波文庫)

昔気質の地主たち―付・ヴィー(地妖) (岩波文庫 赤 605-9)昔気質の地主たち―付・ヴィー(地妖) (岩波文庫 赤 605-9)
(1934/03/25)
ゴーゴリ

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書名:昔気質の地主たち―付・ヴィー(地妖)
著者:ニコライ・ゴーゴリ
訳者:伊吹山 次郎
出版社:岩波書店
ページ数:126

おすすめ度:★★★☆☆




ゴーゴリの生地、ウクライナを舞台にした作品集、『ミルゴロド』の中の二編を収録したのが本書『昔気質の地主たち―付・ヴィー(地妖)』だ。
執筆年代も同じで、舞台も同じウクライナに設定されているとはいえ、『昔気質の地主たち』と『ヴィー』とは作品から受ける印象が相当違っており、同じ作品集に収められた『隊長ブーリバ』ともまるで趣を異にするので、ゴーゴリの作品を幅広く味わいたい方には非常にお勧めの一冊と言えるように思う。

本書の表題作である『昔気質の地主たち』は、のんきで平和な地主夫婦を扱った物語だ。
長年連れ添ってきた人好きのする二人は何不自由ない幸せな日々を送っているが、その陰で使用人たちには彼らの財産がいいようにかすめ取られている。
実務家としての才能はまったく評価できないし、彼らの趣味や知性も優れているとは言い難いが、読者は人間的魅力に富んだ素朴な二人を憎むことができないのではなかろうか。

一方『ヴィー』の方はというと、超自然的な現象を扱った、ある意味で非常にゴーゴリらしい幻想的な作品となっている。
「地妖」というあまりなじみのない語から成る副題によっても察せられるかもしれないが、不気味な雰囲気が読者を引き付ける物語である。
個人的には『昔気質の地主たち』より『ヴィー』の方がよくできている作品であるように感じられたのだが、一方は心温まる作品、他方は肝を冷やす作品ということで、二作品の傾向がまったく異なるため、比較対照が難しいのも事実だ。

本書『昔気質の地主たち―付・ヴィー(地妖)』は、巻頭に添えられた訳者によるはしがき部分で、話の落ちがずいぶんあっさりと明かされてしまう。
特に『ヴィー』のような幻想譚の部類に入る作品の場合は、物語の結末が読者の最大の関心事となるように思うので、はしがきは飛ばして本文から先に読まれることをお勧めしたい。
出版年が古く、改版が行われていないために幅広い読者に受ける本であるとは思えないが、ゴーゴリに興味のある方で、旧仮名遣いに抵抗のない方はぜひ手にしてみていただきたいと思う。
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